ゲート
現在のスキル
・生霊操作
・念動力
・物体干渉
・呪詛
・使役
・遠視
・火炎耐性
・水耐性
・雷耐性
・毒耐性
・気配感知
・付与魔法
・調教
・召喚魔法
・テレパシー
・サイコメトリー
・憑依
・火属性攻撃
・水属性攻撃
・雷属性攻撃
・闇属性攻撃
・回復魔法
・気配遮断
・瞬間移動
・身体強化
・透明化
・亜空間生成
・物質変換
・具現化
・鑑定 ←New
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私はスキル一覧を見てため息をついた。
(よくわからないけど多分かなりチート性能キャラになりつつあるな…)
鑑定スキルを覚えてから悪魔や魔王を鑑定してみた。
私よりレベルが高いからだろうか?悪魔も魔王もレベルや種族くらいしか情報が得られなかった。
試しにククルを鑑定してみるとスキルまでしっかり見ることができた。
どうやら自分より強い存在を鑑定するにはスキルのレベルが足りないらしい。
(手当り次第鑑定してレベルを上げないと!)
私は仕事のついでや避難村に行ったついでに鑑定のレベル上げをがんばっている。
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避難村の魔族たちに頼まれている仕事を思い出し、私は森へ向かった。
この世界に存在する薬草を避難村に植えてほしいと言われていた。
私は薬草図鑑のような本を手にし似たような植物を根ごと採取した。
持ちきれなくなると屋敷に瞬間移動して地下室に置き、また採取しに行くという地道な作業である。
洞窟やダンジョンに生えているレアな物も採取することができた。
(このくらいでいいかな…)
半日駆け回って集めた植物の数々を眺めてから私は避難村に向かった。
モヤモヤをくぐり抜けると一人のリーダーが近くにいた。
私はリーダーに運ぶように指示をしてから村のまだ未開拓の土地に向かった。
私は大きな温室を具現化した。
それは元の世界で見た植物園のような背の高い木すらも収まるような大きなものだった。
中に小さな池を作り、周りに植物を植えられるようにした。
魔族たちはせっせと私の採取してきた植物たちを運び、どこに何を植えるか相談しだした。
「シア様、これは暗くてジメジメした洞窟のような場所に植えるのがいいかと。」
私がダンジョンで取ってきたキノコのようなものを差し出し私に言った。
「鉱石採取用の洞窟に植えるのはどうかな?」
「おぉ!それはいい案です!」
私はここに関わらず自分たちで判断して適所に植えるように指示した。
薬草に詳しい魔族の者が呼ばれ「これはここ、これはそっち」と次々と植えていった。
ときどき「これは薬草じゃありませんね」とか「これは毒草ですね」と言い、除けられたり子供の手に届かない場所に植えたりしていた。
「人間たちに邪魔されて取りに行けなかった貴重な薬草たちです。」
魔族たちはどれも大事そうに植えては「必ず増やしてみせます!」と意気揚々とした。
私は足りなくなったらまた取りに行くよと言って温室を出た。
避難村は私が具現化して出したとは思えないほどに栄えていた。
家々は飾りつけられ華やかになっていた。
魔族たちは与えられた綿やシルクの反物で服を作ったようだ。
羊もたくさん飼うことにして羊毛の扱い方も教えた。
花や植物から染料を作り様々な色で染めることも覚えていた。
ここができてもう少しで1ヶ月になろうか。
魔族たちは日々精力的に働き、かなり立派な村が出来上がりつつある。
私が来るたびに「シア様!見てください!」と新しい料理や自分たちで作った道具などを見せてくれる。
私は魔族たちが大好きになっていた。
見た目の怖い者や少々醜い姿の者も多かったが心は誰よりも美しいように思えた。
私は”最強のブス”だった頃の自分を思い出し恥じる気分になった。
(私は見た目も心もブスだったな…)
畑仕事を手伝い、トマトをもらった私は屋敷に戻った。
戻るとムイが飛んできて
「シアさん大変です!!」
とまくし立てた。
息を整えたムイは
「勇者が死にました!」
と叫んだ。
(勇者が死んだ?!)
魔王がやっつけてしまったのだろうか?
私はムイにどう言うことなのかと詰め寄った。
どうやら勇者パーティはダンジョン攻略中に金色のキツネに出会ったらしい。
(花の守護神…)
アリはいつものようにかわいらしい姿で「花の守護神を怒らせたのかな?」とニコニコ笑っている。
勇者パーティはほぼ壊滅状態になり、賢者だけがどうにか逃げ切ることができたということだった。
(さすがあの青い髪の男は強い…)
しかし勇者がやられてしまうとは…
私は異世界転生モノのアニメを思い出し(邪道な展開だな)と素朴に思った。
悪魔は「しばらくは穏やかに暮らせそうだな。」と喜び、「まだ賢者がおりますよ!」とムイにたしなめられていた。
私はなんだか心にぽっかりと穴が空いてしまったようで何もする気にならなかった。
(勇者が死んだ…)
あの美しい女性を思い出し、私もいつかはそうなるのかとぼんやり考えた。
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王都では勇者死亡の噂で持ちきりだった。
中には魔王が攻めてくると大騒ぎする者もいた。
人々は絶望し街はお葬式のようだった。
家に引きこもる者も多く街はすっかり活気を失っていた。
悪魔の邪魔をするような者も魔王討伐に動く戦士や魔法使いなんかもしばらく現れなかった。
私はせっかく鑑定スキルを取ったのに勇者を鑑定することはなかったことにがっかりした。
かと言って賢者のところへ行くのもまだ怖い。
あの花の守護神から逃げ出すことができたのはきっとかなり強い証拠だ。
無理に脅威に近づくのは得策じゃないだろう。
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私は暇をみつけては避難村に来ていた。
(避難村じゃなくて何か村に名前をつけたいな…)
私は魔族の長老に村に名前をつけるように言った。
長老は驚いていたが「それは素晴らしき名誉!」と言い少し時間をくれるように言った。
きっといい名前をつけてくれることだろう。
私はこの亜空間の出入口をどうにか出しっぱなしにできないか試している。
このモヤモヤは私が意識している間は消えないようにはなったが、離れすぎたり他のことに夢中になるとすぐに消えてしまった。
不安定なので私の指示のないときにはみかけても近寄らないように言ってある。
子供たちが間違ってくぐらないようにモヤモヤの出る場所には囲いができていた。
イタズラする者はいないようだった。
この魔族という種族は本当に素直で節度をわきまえた良い種族に思えた。
(幸せそうに暮らしていてよかった)
戦闘員として魔王城の城下町で待機していた他の魔族もここに訪れたいと頼んできた。
私は城下町にモヤモヤを出しては魔族たちを行き来させた。
(効率が悪いな…)
私は試行錯誤した挙句、モヤモヤを安定化させることに成功した。
それは大きなドアで『ゲート』と名付けた。
まずは地下室の壁にそのドアを作った。
一晩観察したがドアはその姿を私の意識のないときもそこにとどめ、消えることはなかった。
(これはいけるかもしれない)
私は魔王城の城下町に出かけた。
避難村で長老にゲートの守り手になれる人物を聞いていた。
その魔族の者は鍛冶屋にいた。
名前を『ピート』といい、大きなライオンのような顔をした魔族の者だった。
私は避難村やゲートのことを話すと「だいたいのことは聞いております!私でよければぜひとも力にならせてください!」と気持ちよく応えてくれた。
私は鍛冶屋の奥の部屋の壁にゲートを作った。
ドアを開けて入ってみると避難村のモヤモヤに出た。
(とりあえず成功だな)
私は念のため一晩様子をみるようにいい、ピートは「誰も近づかないように見張っております!」と元気よく約束をしてくれた。
屋敷に帰り地下室へ行くと壁に作ってあったゲートは消えていた。
どうやら2つ同時には作ることができないらしい。
あちら側からこの屋敷に用事のある人はいないだろうからこれでよかった。
翌日の朝ピートのところへ行くと数人の魔族たちが集まっていた。
手には土産らしきものを持ち、早く行きたいとばかりに目を輝かせていた。
「シア様すいません!みんな待ちきれないようで…」
とピートは申し訳なさそうに言った。
「お待たせしてごめんね、もし失敗していてみんなに何かあったら嫌だから…」
私も申し訳なさそうに言うとみんな「とんでもありません!」と恐縮した。
私は改めてゲートを確認する。
ドアの向こうには避難村の美しい集落がある。
「多分大丈夫だとは思うんだけど…何か違和感があったら念のため使用禁止にして私かリーダーたちに連絡してね。」
そう言ってドアを開けみんなに「どうぞ」と言うと躊躇いながらも次々と向こうへ消えていった。
私はピートにも見てくるように言い、ピートは鍛冶屋を閉めて嬉しそうに避難村に向かった。
私は鍛冶屋でゲートを見張っていた。
しばらくするとゆっくりとドアが開き、たくさんの食べ物を抱えたピートが出てきた。
「シア様!なんと素晴らしい村でしょう!」
ピートは村で見たいろんなものを「ここがすごかった!」と並べたてまくし立てた。
私は嬉しそうなピートに「うんうん」と返事をした。
「私もときどき遊びに行ってもいいですかね?」
私は村で見張り役を当番制にしてはどうかと提案した。
ピートは自分の不在中のカバーをしてくれる人を募ると嬉しそうにまた避難村に戻って行った。
ほどなくしてピートはニコニコしながらドアから出てきて「とりあえず夜になったら他の人が来てくれます!何人も志願してくれました!」と喜んで報告してくれた。
(ここは大丈夫そうだな)
私はゲートをピートに任せた。
魔族以外の不審者は通さないことを約束させた。
それからというもの、避難村はもっと活気づいた。
城下町にいた魔族の商人も行き来をし、城下町も心なしか豊かになった。
どこもかしこも笑顔が溢れ私もそれを見ては笑顔になった。
魔王も満足しているようでときどきゲートをくぐり抜け避難村に遊びに行ってるようだった。
(あとは魔族の人たちに任せて大丈夫だな)
ホッとしてレベル上げでもしようかと思っていると魔族の長老から連絡が来た。
「今夜こちらの村へおいでくださいませ。」
長老は嬉しそうにしている。
後ろにいるリーダーもニコニコとこちらを見ていた。
私は(アレが決まったのかな?)と察して「必ず行きます!」と約束をした。
私は悪魔とムイも誘い避難村を訪れた。
いつものように地下室からモヤモヤをくぐってやって来たがなんの問題もなかった。
ゲートは1つしか作れないがモヤモヤは好きなときに好きな場所で出せるらしい。
私たちをみつけると「こちらへどうぞ!」と子供たちが集会場へ案内してくれた。
中にはたくさんの魔族が集まっており、みんな嬉しそうに着席していた。
私たちも着席して長老を待った。
「何が始まるのですか?」とムイはキョロキョロしていたが悪魔はいつものニヤニヤで酒を用意させた。
すぐに長老は現れた。
一瞬で静まり返り、みんな長老の言葉を待った。
「この村の名前を発表する。」
長老はゆっくりとみんなに話しかける。
「この村は今日から『ハピリナ村』じゃ!」
魔族たちは一斉に立ち上がり「ハピリナ!」と叫んだ。
拍手喝采が起こり、悪魔は「乾杯じゃ!」と言い酒を飲み干した。
魔族たちも嬉しそうに酒を飲み始めた。
私はここに酒を持ち込んだつもりはなかったのだが、どうやらブドウでワインを作ったらしい。
さすが器用な魔族たちだと感心した。
長老は私に「シア様の元の世界では幸福を意味する言葉はありますかな?」と聞いていた。
私は少し悩み「ハッピーかな?」と答えた。
おそらくここからハピリナと名付けたのだろう。
(ハピリナか!かわいい名前になったな)
私は村の中心のモヤモヤの囲いに『ハピリナ村』と書いた看板を建てた。
(みんながずっと幸せだといいな…)
宴は一晩中続いた。
私は悪魔とムイを連れ帰り疲れてはいるが幸福な気持ちで眠りについた。




