泣かない
「……っう!泣かないし!私、泣かないから!!」
当たり前だけど、ぼろぼろ涙が出て行ってるのがわかっていなかったわけではない。
でも、力いっぱいそう叫んだ。
「だ、大丈夫……!?」
「大丈夫じゃない!!!」
こすったら目が腫れる。
そしたら明日、その顔を見て、私はまた自分に悔しい思いをするだろう。
だから思い切り目を見開いたまま、溢れる涙も拭わないまま、全身に力を込めて全部を吐き出した。
「だってずっと!好きだったもん!学校イチ可愛い先輩と付き合い出してたなんて知りたくなかったもん!」
完敗とはこのことか、というほどの素敵な先輩と、幸せそうに笑い合う彼を見た。
本当に幸せそうだった。
ずっとずっと見つめてきたのに、想ってきたのに、あんな彼は見たことがなかった。
「悲しいし悔しい!どうしたらいいの!!!!!」
「おー、よしよし」
私より小さい背丈で、頑張って頭を撫でてくれる親友がありがたかった。
「腹もたつの!自分に!かなわないもん!でも努力も、告白する勇気も出してこなかったのも本当だもん!!!」
「あんたはじゅーぶん素敵女子だよ」
「でもわたしじゃダメだったもん!!!!」
「よしよし」
ついに限界が来て、彼女の肩に突っ伏した。
「もう、もう、こんなふうにならないようにするもん」
「うん?」
「ちゃんと、欲しいものに、手を伸ばしたい」
「うん、そだね」
「くやしい、“まだ”見てるだけでいいって思ってた自分がいや、」
「うん、」
「くやしいよぅ」
「今日、うち来いー泊まってけー」
「……そうする…………」
結局明日は、きっと目が腫れることになるだろう。
でも、いい。いつかきっと、私もあんな恋をする。
あんなふうに、大好きな人と笑い合う。
だから今日は。
未だ暴れ続ける心のままに、ぐすぐすと親友に泣きついた。




