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第56話 今もこれからもずっと永遠に

()()()()()の涼也君、待ってたよ」


「涼也、何か言いたそうな顔してる」


 後夜祭のステージ発表が終わった後、俺は校舎裏で玲緒奈と里緒奈に詰め寄っていた。その理由は勿論先程の俺と付き合う事になったという発言の真意を確かめるためだ。


「なあ、玲緒奈と里緒奈が俺と付き合ってるってどういう事だよ。俺は告白した記憶も一切無いし、逆に2人から告白だってされてないと思うんだけど……」


「涼也君が私達の事を好きなのは知ってたし、私と里緒奈も涼也君の事が大好きだったから私達は相思相愛だったんだよ」


「だから別に告白なんてする必要すらないと思ってた」


 なるほど、どうやら2人としては相思相愛だから告白が無くても俺と付き合っているという認識をしていたらしい。

 とりあえず玲緒奈と里緒奈が俺を好きという事は分かったが、なぜ後夜祭の場で大々的に発表する必要があったのかという疑問は解消されていない。そんな事を思っていると玲緒奈が口を開く。


「ちなみにわざわざ皆んなの前で私達が付き合ってる事を発表したのはね、涼也君が私と里緒奈のものだって皆んなにアピールするためだから」


「涼也の全てはもう私とお姉ちゃんだけのもの、他の誰にも絶対渡すつもりはない。今もこれからもずっと永遠に」


「いやいや、永遠にってのは流石に言い過ぎだと思うけど」


 玲緒奈と里緒奈がそこまで俺を思ってくれていた事は嬉しいが、いくらなんでも大袈裟過ぎやしないだろうか。そんな俺のつぶやきを聞いた2人は真顔になって口を開く。


「涼也君は死ぬまで永遠に私達のものだよ。もう2度と離さないし、絶対逃さないから」


「涼也は頭の先からつま先まで全部私達のもの。髪の毛1本すら他の誰にも渡したくない」


 最初は冗談を言っているのでは無いかと思う俺だったが、玲緒奈と里緒奈の真剣な眼差しを見て冗談では無いかもしれないと思い始めた。


「それに涼也は私とお姉ちゃんの大切な初めてを奪ったんだから、責任とって私達を幸せにする義務があると思う」


 俺が玲緒奈と里緒奈の初めてを奪ったという意味が分からなかったが、よくよく考えたら俺は不可抗力とは言え2人とキスをしていた。

 倉敷ミラノ公園の観覧車の中では玲緒奈の、東京サマーヒルズのウォータースライダーでは里緒奈とキスをしたのだ。かなり意外だったが、2人はあれがファーストキスだったのだろう。


「あっ、分かってるとは思うけど初めてっていうのは勿論処女の事だよ」


「……えっ!?」


 玲緒奈の言葉を聞いて俺はここが外という事も忘れて叫び声を上げてしまった。そもそも童貞の俺が一体いつ玲緒奈と里緒奈の処女を奪ったというのだろうか。


「涼也君が初めて私達の家へ来たあの日、エッチして初体験を済ませちゃった」


「いやいや、俺にそんな記憶はないぞ!?」


「涼也が覚えてないのも無理ない。だって睡眠薬で眠っていた間だったから」


 次々に明かされる驚愕の事実に俺は頭がオーバーヒートする寸前だった。自分が実は童貞では無くなっていた事も十分驚きだったが、それ以上に2人が俺を睡眠薬で眠らせていた事の方がもっと衝撃的だったのだ。

 玲緒奈と里緒奈と一緒に過ごしている時に限って猛烈な眠気に襲われていたため、2人の事を疑った事も確かにあった事を思い出す。

 だが彼女達が俺に対して睡眠薬を盛るメリット無いと思ったためすぐにその考えは頭から捨てていたが、実際に睡眠薬で眠らされていた事を考えると何かメリットがあったのかもしれない。


「な、なんでそんな事をしたんだよ……?」


「涼也君の童貞を他の誰にも渡したくなかったからかな、万が一涼也君が他の女の子とエッチなんかしちゃったら穢れそうだったし」


「うん、それに私とお姉ちゃんも処女を涼也に捧げたかったから」


 玲緒奈と里緒奈は初体験の事を思い出しているのかとても他人には見せられないような妖艶な表情を浮かべている。


「じ、じゃあひょっとしてまさか2人が俺の行く先々にタイミングよく現れたりしてたのも何かカラクリがあるのか……?」


「よく気付いたね、その通りだよ」


「涼也のスマホに遠隔監視アプリをインストールして行動を監視してた。ちなみに涼也の部屋に監視カメラも設置してたから私達の写真をおかずにオナニーしてた事とかも全部知ってる」


もはや何も言葉が出てこなかった。俺は玲緒奈と里緒奈の事を時々怖い事もあるが基本的には優しい美人双子姉妹だと思っていた。しかし、それは2人の表面的な姿でしか無かったようだ。


「そうそう、大丈夫とは思うけど浮気は絶対に駄目だからね」


「もしそんな事になったら私もお姉ちゃんも涼也に何するか分からない」


 2人の言葉を聞いた瞬間、凄まじい悪寒が走る。万が一浮気なんかしてしまった日には玲緒奈と里緒奈から殺されるかもしれないと本気で感じるほどだ。

 もう俺は逃げる事なんて出来ないに違いない。俺が命懸けで助けた美人双子姉妹は、どうやら凄まじいヤンデレモンスターだったようだ。

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