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第27話 うん、私達に任せて

 里緒奈とカップル限定パフェを食べた日から数日が経過した今日、俺達は倉敷市立大学のオープンキャンパスに参加するため新幹線で移動をしていた。

 3人で朝ごはんを食べた後、準備していたトランプで大富豪をしていると何かに気付いた玲緒奈が口を開く。


「涼也君、里緒奈見て。窓の外に富士山が見えるよ」


「本当だ、って事はもう中部州に入ったのか」


「お姉ちゃん、興奮し過ぎ」


 ハイテンションな玲緒奈の声を聞いた俺と里緒奈はそれぞれ反応をした。次の停車駅は名古屋駅のため、乗り換え予定の岡山駅まではまだかなりの時間がかかりそうだ。


「ところで玲緒奈と里緒奈は倉敷に行った事ってあるのか?」


「中国四国州は広島とか高松には行った事あるけど、倉敷は無いんだよね」


「だから私もお姉ちゃんも結構楽しみにしてる」


 オープンキャンパスが終わった後は倉敷美観地区に行って観光し、翌日テーマパークの倉敷ミラノ公園で遊んでから東京に戻る予定だ。そんな事を考えていると里緒奈がジャックを2枚場に出してくる。


「うわっ、マジかよ。パス」


「えっ、このタイミングでイレブンバックするの……私もパス」


 俺と玲緒奈はそう声をあげた。一時的にカードの強さが逆転するイレブンバックをされたせいで行動を封じられてしまったのだ。そこからは里緒奈の一方的なターンであり、俺達は手も足も出なかった。


「これで私の勝ち」


「また負けた、いくらなんでも強すぎるだろ」


「やっぱり里緒奈は相変わらず強いね」


 新幹線に乗ってから既に何試合かしてきたが、俺と玲緒奈は一回たりとも里緒奈に勝てていないのだ。

 里緒奈のポーカーフェイスは完璧であり、その上地頭も良いため凄まじく強かった。ちなみに玲緒奈は表情に出やすいタイプだったので正直かなり弱かった事は言うまでも無いだろう。


「なら他のゲームにする?」


「……多分何やっても里緒奈が圧勝しそうな未来しか見えないんだけど」


「うん、里緒奈は子供の頃からトランプとかオセロみたいなゲームで負け知らずだったし」


 結局トランプは辞めて、その後は心理テストをしたり倉敷の観光について話し合ったりして盛り上がった。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「やっと岡山駅に着いた、長時間座りっぱなしだったからちょっと疲れたよ」


「やっぱり3時間半は結構長い」


「2人ともお疲れ様」


 玲緒奈と里緒奈は新幹線を降りるとその場で背伸びをしたりストレッチをしていた。それだけキツかったという事なのだろう。


「後は在来線に乗り換えて倉敷駅まで30分くらいだし、駅から大学までは臨時バスで10分くらいだからもう少しの辛抱だ」


「はーい」


「頑張る」


 少しだけ休憩した後。俺達は在来線改札口に向かって歩き始める。新幹線ホームでは大昔放送されていたアニメの曲が発車メロディとして流れており、ちょっと懐かしい気分にさせられた。

 それから在来線ホームに移動して電車が来るのを3人で待っていると、壁に貼られていた時刻表を見た玲緒奈が声をあげる。


「えっ、1時間にこれだけしか電車の本数ないの!?」


「やっぱそう感じるよな、俺も最初は同じような反応をしてたよ」


 普段利用している駅と比べると圧倒的に本数が少なかった。まあ俺達の住んでいる東京23区と今いる岡山市では人口が全然違うためはっきり言って比較しても仕方がない気はする。

 しばらく3人で雑談しながら待っていると乗る予定の電車がホームに到着したため、俺達はゆっくりと車両に乗り込む。

 夏休み期間という事もあって中は割と混雑していたが、運良く4人席に座る事が出来た。そしてしばらく電車に揺られているうちに倉敷駅へと到着したため、バス停に向かい始める。


「もしかしてあれが明日行く予定の倉敷ミラノ公園?」


「そうそう、倉敷駅の北口を出てすぐだからめちゃくちゃ近いんだよ」


 里緒奈の言葉に俺はそう答えた。俺達の進行方向にはジェットコースターや観覧車のようなアトラクションが見えている。


「駅のすぐ近くって涼也君から事前に教えて貰ってたけど、こんな目の前にあるとは思ってなかったな」


「うん、ちょっと驚いた」


「ちなみにオープンキャンパスが終わってから行く予定の倉敷美観地区も実は駅のすぐ近くだから」


 倉敷美観地区は駅の南口から徒歩10分くらいの距離にあるためすぐだ。そんな会話をしているうちにバス停に到着した。


「……そう言えば2人ってオープンキャンパスにはもう何回か参加してるのか?」


「うん、去年里緒奈と一緒に色々行ったよ」


「模擬授業が結構楽しかった」


 どうやら彼女達は行った事があるらしい。俺は今まで行った事がなかったため少し心配だったが、隣に経験者が2人もいるなら安心だ。


「そっか、実は俺初めてなんだよな。だから頼りにしてる」


「うん、私達に任せて」


「涼也に色々教えてあげる」


 バスが来るまでの間、玲緒奈と里緒奈はオープンキャンパスの流れや内容などを分かりやすく説明してくれた。これで今日のオープンキャンパスは問題なく乗り切れるはずだ。

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