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(「」沈黙……。「」)

 


「一人語りをしている話者の言葉に対して、聞き手である主観が反応を返さないというのも一つの方法だろう。例えば地の文を3点リーダーや空白や句読点だけで埋めるなどの方法だな」



 ……。



「それを沈黙とするのか、無言の抵抗とするのかは話者が聞き手を観測した状態や仕草などを言葉にすることで表現できる」



 …………。



「例えば、いつものように静かに耳を傾ける沈黙や、緩やかに溶けていく意識を映した眼差し。ある種の陶酔にも似た表情へと聞き手のそれが変わっていく。私の一人語りを聞いているキミが私に見せる、いつもの変化だ」



 ………………。



「だが実際のところ、私には聞き手であるキミの内心を読み取ることはできない。地の文が見えればそれも叶うだろうが、それができるのは当人に限られている。もちろん私の内心もキミは読み取れたりはしないと思う。私に地の文があったとしてもそれをキミが読んでいる訳ではないだろうからね」



 ……………………。



「だから話者の言葉に対して反応する地の文がなければ、読者はその内心を推し量るしかできない。しかし登場人物であるならば、地の文では言葉にされない様子も目にしているため、具体的に言葉として発することもできるわけだ。例えば耳が赤いとか目が泳いでいるとか顔を直視できず逸らしているとか早口で言葉を続けているのは恥ずかしくて気まずくて逃げ出したくなっているからだけれども手を繋いで隣に座っているから逃げることもままならないとか! 聞き流すとか聞かなかったフリもせず目を逸らそうともせずどんどん落ち着かなくなっている様子とか!」



 それ全部、先輩のことでしょうが。





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