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(「『他者発言を反芻』」)

 

 時折、驚きや嘆きをこぼしながら、先輩は一通りこちらの考えを聞いて、




「わかるかぁ!

 何が


『お前の言葉は無駄が多い』だ!


 削ぎ落としすぎて意味が通じないなら本末転倒じゃないか!」




 とキレた。




「あぁそうだな、無意味の縁とは言わなかったな。無為の縁だ。

 無為とは自然にできたとか、作為的に作られていないとか、あるいは変化しない絶対的なものなんて解釈される言葉だ。並べて繋げれば、自然で作為がない変化しない絶対的な縁だ。

 なんだ褒めてくれるのか、ってならないだろ!


 初手が

『時間の無駄』

 で、


『凡夫』

 と

『変人の評は変わらん』


 で挟んで否定されていないと思うかね! 私は思わなかった! キミよくわかったな!? さては凡夫じゃないな!?」




 立ちあがろうとして繋がったままの両手に遮られて座り直したり、頭を抱えようとしたのか上げようとして引き戻されて、と先輩は落ち着かない。




「そこに続けて


『価値の低い繋がり』、

『縁を深めるべき傑物』、

『優先すべき先』、


 と繋げて、


『無為の縁にこだわるだけでは、変人は傑物にはなれん。それはお前のためにはならん』


 だ!

 しかもキミの手を繋いでいたくて彷徨っている私の手を睨みながら! 


『それ』が

『無為の縁にこだわるだけ』の『だけ』


 を指しているなんて言われてみればそうかもしれないけれども! その一文だけならそうかもと思えなくもないけれども! 先の口上と視線が噛み合ってないじゃないか、わかるかぁそんなの」




 喋りながら走ってベンチまできた時よりも息の上がった先輩が、荒れた息を整えようと深呼吸を繰り返す。




「つまりあれか、伯父の言った


『私の思う最善』


 は本当にただ提案しただけで、


『正しいと思う道を選べ』


 というのが本筋で、私がキミの手を離さないことを選んだのが私にとって正しいことだと言ったからそれに満足して


『好きにしろ』


 と言い捨てて去って行ったと……すまない、なんかちょっと疲れてきた」




 漏れた溜息に瞬きすると、先輩がそう言って顔を背けた。




「キミの手を取るのと教授たちと縁を深めるのは両立できないわけじゃないが、そうでなくても院に入るのは簡単じゃない。

 いまですら脛齧りなんだが、それが延びることになるのは明らかで、そんな遠慮というか後ろめたさがあったのかもしれない。

 それで私の目が曇って伯父が責めているという色眼鏡となったのか。確かにそれは自覚したし理解もした。

 いや、だとしてもなんだかキミの方が伯父をよく理解しているみたいで、それはそれでなんだかちょっとモヤモヤする」




 たぶん、聞く力とか観察力が鍛えられたんですよ。隣でよく喋る人に。






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