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 舐められないようにするためには見た目を変えるのが手っ取り早かった。

 そんな風に端的に返した適当な答えを掻き消すように、先週のヒットチャートで一位だった歌のイントロが流れ始めた。




「つまりキミは」




 先輩の言葉を遮るように始まったその歌を歌いながら、ふと先輩が黙って聞いていることに気づく。その様子がおあずけされた犬と重なって、歌いながら笑いそうになった。

 曲が終わるまで待ち続けた先輩が、




「髪を伸ばして顔を隠していたことがレポート要求をされた一因だと考えたわけだな。根本的な原因が私が彼女たちの価値観では軽んじられるような変人であることは理解した上で、その解消あるいは緩和の手段として見た目を変えるということを考え」




 先輩の言葉を聞きながら入れていた、先週二位のイントロが流れ出して先輩の口が止まる。歌い始めると先輩の口がゆっくりと閉じた。

 そして再び歌い終わりをおとなしく待つ。




「それでは私が巻き込んだことを責めようとしたわけではなく、私が軽んじられなくすることが目的で、なんだかまるで最初から私のことを責める気がなかったみたいな」




 三位がイントロなしで歌に入り、また先輩の言葉が止む。四位の歌が予約されたことが画面上に表示される。それを確かめて先輩の口がゆっくりと閉じた。

 四位を歌いながら先輩に目を向ければ、薄桃色の唇をうねらせながらこちらを睨みつけていた。

 見なかったフリをしてその曲も歌い終える。




「もしかしてキミは私のことを責める気は最初からなくて、そもそもあの場に居合わせたのも例えば仲裁に入ろうとか、もしかしたら私を助けるつもりで」




 五位のイントロで、先輩の言葉がまた止まる。

 しかし今度は口が閉じることはなかった。




「キミ、もしかして照れているのか? それとも私で遊んでいるのか?」




 答えを返す代わりに、十位まで予約を入れた。


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