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(「頭や末を━にして前後を略す」)

 

 そのオープンラウンジでの出来事から再び先輩に会うまで、ほんの数日だったと思う。



 しかし以前のように先輩を連れ出そうとしたわけでもなく、先輩が自ら会いに来てくれたわけでもなかった。

 きっかけは最後まで悪態を吐いていた劣化コピー品の人だ。




「あぁぁ、いた、いたぁ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」




 こちらを指差して走り寄り、縋り付いて延々と謝罪を口から吐き出す。

 場所は受講終了直後の講堂で、まだ学生も講師もほとんどが残っていた中での振る舞いに空気が凍るのがわかった。先日の出来事に居合わせていた学友でさえ、こちらに声をかけるのを戸惑っている。



 悪態をついて肩に腕を周していた人が謝罪と共に腰を両手で掴むのはどういうスキンシップなんだろうかと、若干思考を放棄しかけて、



「━━━━という解釈もすることができるでしょう。しかしそれを当てはめるには条件が限定されており今回の件に該当するのか、と……あ」




 呼び戻したのは耳に届いた先輩の声と、それを掻き消すほどの悲鳴。

 止まらない謝罪を続けながら両耳を押さえている姿は、ムンクの叫びという絵画に似たものだった。


 講堂の入口で入るか入るまいか迷っている先輩へと視線を向けると、避けるように顔を背けられて苛立ちを覚える。


 謝罪を受け入れたことと先輩にももう充分だと伝えると告げると、謝罪と感謝を吐き散らして走り去った。



 その背中を見送って先輩へと視線を向ければ、同じように逃げ出そうとしていたので捕らえるようにして手を掴んだ。




「ひゃっ……あ、あー……えー……」




 また祭りが開催されないうちに、その手を引いて講堂から出る。

 友人たちの囃すような声が背中に届いたが、無視した。




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