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(「」の末と頭を━で繋いだり無くしたり)

 

 図書館に置き去りにして数日後。

 先輩はいつも通りだった。



「学内サークルの一部に絵画系のサークルがある。イラストレーター、漫画家、アーティストなど多少サークルにより活動指針が違うらしい。

 学内展示室を定期的に活用しているのはアーティスト系のサークルだな。今回飾られていた作品のうちいくつかは卒業生の寄贈品で、以前にも展示されていた。

 例えば『くらがりから』という作品だが━━━━」



 もう一度、黙らせて確かめようと思った。

 学内展示室の中では先輩の口からは一つの音も漏れず、ただ静かに絵を眺めた。いくつかの絵の前で作者名や作品名を確かめたときでさえ、口を開くことはなかった。



「━━━━を重ねることで夜空の暗さ、深さを表現しようとしたのだと思う。一筋に切りつけたように剥落しているのは、おそらく流れ星を刻もうとしたのだろう。

 私が前回見たのはいつだったか。その時に比べると剥落も色変わりも進んだ気がする。やはり適切な保管庫がないのは問題があるらしい。

 あるいは先人の作品に、また先人自身に対する敬意や興味が現在のサークル所属者にないのかもしれないが、そこは私がとやかく言うことでもないな」



 その分、言葉が溜まっていたように、先輩は語っている。前髪とメガネでどこを見ているのかもわからないまま、最初に会ったときのように虚空へと語っているように見えた。



「もしかすると一定の期間や卒業人数、作品数で順次廃棄されるのかもしれない。公認のサークル活動であれば拠点となる部屋もあるが、とはいえ容量にも限りがある。直接面識がある作者の品や著名な作者の品なら別かもしれないが。

 同好の士なんて言葉もあるが、関わりがなければ他人となってしまうのかもしれないな」



 変わらずに降り注ぐ言葉に打たれながら、こちらの数日にわたる懊悩などカケラも気づいていないことに、予想外にショックを受けている自分に驚いた。

 唇の薄桃色に視線が囚われたまま、ただ黙って言葉を浴びていた。




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