11/85
(「」地の文に感想を入れる「」)
「例えばミルクティーとロイヤルミルクティーの違いを説明するのは、聞き手にそれを理解させる必要があるからだ。だがそれが説明する側の一人語りでなくてもいい」
先輩の右手に、温くなったホットミルクティーを取り上げられた。
「ミルクを足すか、ミルクで煮出すか。地の文にそんな簡単な説明を地の文に記すとか、ペットボトルの欄を見せる所作を記すとか……でもいい」
どこかに書かれていると思っていたのか、ペットボトルを一通り見回す間、ちょっと先輩の言葉が詰まった。
「読者が知っていそうなことならそうやって簡略化もできる。逆にあえて説明する事で話者の話好きをアピールすることもできるだろう」
先輩の場合は話好きを超えてますよ。
「あるいは、そんなわかりきったことを書くことが二人の関係性を表している場合もあるだろう。取るに足らないようなどうでもいい話を延々とされているのに、文句一つ挟まずに耳を傾けている。もし読者がいたならば、そんな関係性をどう思うだろうか」
ノーコメントを貫かせてもらいます。




