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(「」地の文に動作を入れる「」)

 

「ミルクティーが何故苦手なのか。例えばそんな個人的な嗜好について延々と一人語りをしている長尺な語りに目を通すだけの意味はあるだろうか」



 一口つけただけでキャップを締め直して、先輩はまた口を開いた。



「大抵の場合で発言には意味がある。だがそれが必ずしも聞き手にとって意味のあるものになっているとは限らない。もちろん話者にとって無意味な発言に対して聞き手が意味を見出すこともあるだろう」



 そう言いながら押し付けられたミルクティーと、飲みかけのブラックコーヒーを交換する。



「会話の当事者ではない読者にとってはなおさらの話になる。意味があるかもわからない話を、どこまで読み進めれば意味を見出せるのか。そもそもそんな保証はあるのか。

 そうして並べて見ると、小説や論文などの書籍全般と、全校集会の校長の話と、長尺一人語りの構図は実によく似ている。

 提供する側の担保よりも受け手の解釈でその価値が大きく変わる、という点は同じと言えるかもしれない」



 まぁ実際、読まなければ文は模様ですし、聞かなければ言葉はノイズですからね。



「ミルクというよりも牛乳、乳製品全般に対してだが、ある種の風聞を聞いたこたはないだろうか。都市伝説、フォークロアと言った方が正しいかもしれない。

 具体的な明言は避けるが成長過程において必要な栄養素が含まれているというアレだ。私は当時から純真無垢だったので素直にそれを信じ込んだ」



 ほう。



「……ああいまキミがこっそりと視線を向けたとおりだ。結果は惨憺たるものだった。目的とした場所とは違う方向ですくすくと育ったさ。おかげで待ち合わせですぐ目に着くなんて言われるようになった。学内でもトップクラスの背丈だと自負しているよ」



 自負というか自爆してますね。



「乳製品の摂取をいまさら抑えたところで、とキミは思っているかもしれない。だが更に成長したらトップクラスからトップに変わるかもしれない。そういうコンプレックスを刺激するものを避けたいと思うのが心情というものだろう。

 だというのにキミときたら迷わずミルクティーを勧めてくる。嫌がらせか」



 そう言いつつ結局は毎回全部飲みますよね。ブラックコーヒーは飲めないから。



「……そのくせ、いつもすぐに私の手を引いて腰を下ろせる場所に移動する。気を遣っているのか」



 素直についてくるくせに。



「…………しかも毎回左隣に腰を下ろす。どれもわざとだとしか思えないんだが」



 やっぱり地の文なんか読み取れなくても、ちゃんとわかっているじゃないですか。





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