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6話 憧れのアイドル

「――というのが、木本君をここに呼んだ理由だ。……って君、聞いているのか!?」


「はっ! すみません!!」


 ずっと放心状態の僕にアスカ様は……いや、アスカさんは状況を説明してくれた。



 こんな近くでアスカさんと話をできる日が来るなんて……彫刻のような美しい顔、いい香りは大人のフェロモンなのだろうか?


「おい! ボーっとして、君は私の話を聞いているのか?」

 アスカさんはニヤニヤしている僕に怒る。


「は、はひぃい!」

 僕がМ属性に目覚めたのは言うまでもない。



 アスカさんから聞いた話はこうだった。


 なにやら数か月前に新しいダンジョンが地方にひっそりと現れた。


 新しいダンジョンということでギルド竜の牙で探索を始めたところ、他のダンジョンとは全く違うタイプのダンジョンだったらしい。


 そのダンジョンは入るとすぐにダンジョンの主が、つまりボスがいるボスステージから始まるというダンジョン。


 当然、最強ギルド竜の牙ならすぐにボス討伐でダンジョンクリアという流れになるかと思ったところ、突然ダンジョン内に謎のアナウンスが流れた。


 《ここは精霊のダンジョン。このダンジョンのボスは冒険者のレベルに合わせて強さが変わります。冒険者のレベルの10倍のレベルのモンスターが現れます》


 ということだった。


 こういうタイプのダンジョンは世界でも初めてのようだ。

 どうも人工的に作られた。悪意を感じないダンジョンということだが。



「自分のレベルの10倍はボスですか……それはエグイですね……」


「ああ、自分と同レベルのモンスターでも倒すのには相当苦戦する。上のレベルのモンスターとなれば命を落とすこと珍しくない。

 それが自分の10倍のレベルのモンスターとなると、討伐なんて不可能だろう」

 世界最強レベルのアスカさんならレベル50はあるだろう。

 レベル500のモンスターなんて考えただけでも恐ろしい。 


「そこで我々は君に目つけた。横浜にレベル0の高校生がいるという噂を聞いてな」

 アスカさんが僕を指さす。


「なるほど……」

 合点がいった。それで僕が呼ばれたのか。それにしても美しい……


「君がこの計画に参加しても大丈夫な人間なのか調べるために、君の身辺調査をしていた」


「えっ!? 身辺調査?」

 ゾッとした。そんなことまでしていたのか……全然気づかなかった。

 

「若干、過激なオタク趣味はあるようだが……まあギリギリセーフだろうという結論に至った」


「過激って……」

 え? まさか、部室での僕の奇行を見ていたのか!?


「まあ私の言いたいことは分かってくれただろうか?」


「は、はぁ……」

 もちろん、急な話で驚いてはいるが。


「木本君には、その精霊のダンジョンをクリアしてほしいと思っている。

レベル0の君が戦えばボスのレベルも0だ。0は何倍でも0だ!

 君しかクリア出来ないダンジョンなんだ」


「なるほど……」


 急なことで気が動転している。

 レベル0の僕でも冒険者になるってことか……それは嬉しいけど……

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