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52話 サクラちゃん、復ッ活ッ 第一章完結

 病室へ行く僕ら。


 病院は慌ただしかった。

 数か月眠っていたサクラちゃんの体に異変が起きている。


 ネクロマンサーの呪いが解けた反動だろうか。


「サクラ! 目を覚ませ!」

 寝ているサクラちゃんに声をかけるアスカさん。


 その姿はトップ冒険者などではなく、ただのお姉ちゃんだ。


「サクラ!」

「……ん」

「サクラ??」

「んー……お姉ちゃん?」

「サ、サクラ……ッ!」

「あれ……アタシ……寝てたの?」

「……よかった」

 サクラちゃんを抱きしめるアスカさんの目には涙があふれていた。


「うう……よかった……」

 ガイドもなぜか号泣している。


「うう……よかった……」

 僕ももちろん号泣している


 ◇


「そっか……アタシ、モンスターの呪いで……」

「ああ、数か月寝たきりだったんだぞ」

「そうなんだ……ありがとうね! お姉ちゃんが呪いをかけたモンスター倒してくれたんでしょ?」


「……いや。私じゃないよ」

「え?」

「彼がサクラの呪いを解いてくれたんだ」

「……彼?」


 サクラちゃんが僕を見る。

 夢のような瞬間だ。

 憧れのアイドル サクラちゃんの呪いを解き、目を覚ませる。

 ふふ、さながら王子様のキッスで目覚める白雪姫ってところかな?


「え? あの人が……?」

「は、はじめま―――」

「えっ!? きっも。なに? あのキモいオタクは? この病院は警備いないの?」

「サ、サクラ……木本君はな……」

「お姉ちゃん、あんなのと知り合いなの? どうしちゃったのよ?」

「サクラ……やめて……」

「……は、ははは……」

 僕はもちろん号泣している


「す、すまない失礼な妹で……そ、その……多分、目を覚ましたばかりでまだ呪いの影響もあるのかも……!?!?」

「ははは……そうですね……呪いのせいですよね……きっと……」


 さすがネクロマンサーの呪いだ……死後の念というやつか!? 除念師が必要なのか?


「キモオタ君……元気出して……」

 さすがにガイドも今は優しい。


 積もる話もあるだろう。僕とガイドは病院をあとにする。


「はー……それにしても可愛かったなぁ」

「えー? そんなですかね?」

「ガイドは女子に厳しいなぁ」

「あれくらい全然普通ですよ! 私の世界じゃ石を投げればあのレベルの女の子に当たりますよ!」

「……その世界行きたいな……」


「ちょっとアンタ!」

「ん?」

 女性の声に呼び止められる。


「……え!?」

「アンタ……アタシの呪いを解いてくれたんだって?」

「サ、サ、サクラちゃん!?」

「誰がサクラちゃんよ! 馴れ馴れしいわね!!」

 振りむくとそこにはサクラちゃんが。


「……ふん、お姉ちゃんもお世話になったみたいだし……とりあえずお礼を言っておくわ!」

「……い、いえ……」

「ありがとうねっ! ふん!」

 不機嫌に去っていくサクラちゃん。


「なんですか? あの生意気な態度!」

「……くぅうう! 生きててよかった!!」

「えぇ……あんなのでいいんですか?」

「あのツンデレ具合がサクラちゃんの魅力なんだよ!!」

「……キモいですねぇ……」


 なにはともあれ、ネクロマンサーを倒しサクラちゃんの呪いは解けた。

 次はいよいよ魔王を倒しに行くのだろう。


「ガイド! もっとレベル上げに行こう!!」

「もう、なに急にやる気出してるんですか?」

「ふふふ、勇者に休みはないのだよ?」


 この世界でレベルアップできるのは僕だけだ。

 僕がこの世界を……いや、この世界もガイドの世界も守ってやるんだ。


「あ!」

「どうしました!?」

「しまった……サクラちゃんとツーショットの写真を撮ってもらえばよかった……」

「……」

お読みいただきありがとうございます。

ここで第一章完結になります。

皆様のブックマークや評価、励みになりました。

第二章も現在書き進めております。

さらなるレベルアップ、魔王との決戦の第二章にご期待ください。


下記の☆☆☆☆☆を★★★★★で評価いただけれと励みになります(^^)

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