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37話 光魔法

「スキル開眼というやつだな。木本君見せてくれよ」

「ひ、光魔法ですか……」

 僕が魔法を使えるようになるなんて……


 全ての人が持つレベルとスキル。

 僕のスキルはレベル0で魔力が低すぎて、人間の鑑定士では発見できなかった。

 精霊のガイドだから見つけれたスキルだろう。



「えっと……どうすれば?」

 初めての魔法に戸惑う僕。


「うーん……私も魔法使いではないからな……でも魔法使いは手をかざして念じれば魔法が出るようだぞ?」

「なるほど、やってみます!」

 暗闇の山に手を向ける。


「あの……大丈夫ですかね!? とんでもない魔力で山が吹き飛んだりしたら……」

「キモオタ君……レベル10でその心配はないですよ……」

 ガイドが呆れたように言う。



「じゃあ……いきます!」

 僕は手に力を集めて(ようなイメージで)念じる。


「光魔法!!」

 手のひらが暖かくなるのを感じる。

 すると、辺りが明るくなる。……少しだけ。


「お、おお、なるほど……便利だな……」

「いいですね……懐中電灯がいらなくなりますね……」

「なんだ……こんなもんか」

 レベル10の光魔法は懐中電灯の代わりになるくらいの魔力のようだ……


「まあ、炎魔法のスキルを持ってるレベルの低い人もライターくらいの火しか起こせないしこんなもんだろ……?」


「こ、これからですよ! 頑張りましょうキモオタ君!」

「そうだね……」

「たしか光魔法はレベルが上がると光の弾丸を打てたり、剣に光魔法を纏わせることができますよ」

「魔法剣! それはいいな。勇者っぽい!」

「たしか光魔法を極めると死者蘇生が出来るようになるとか!?」

「それはすごい!」

「まあでも、レベルMAXなんて不可能ですよ。この世界のモンスターをいくら倒してもそこまではレベルアップ出来ませんね」

「なるほど……甘くないな……」


「期待してるぞ。明日も早い。食事が終わったらすぐ寝るぞ! だが……」

「ん? なんですか?」

 アスカさんが怪訝な面持ちで僕を見る。


「木本君……すこし臭いぞ!?」

「えぇぇ!?」

「あー……たしかに……私も思ってました……」

 ガイドも言う。


「いや、普段はそこまででもないんだぞ……?」

「そこまででも!?」

「今日は一日戦って汗をかいたんだろうから……とくに……」

「とくに!?」

 なんだ? 僕はいつも臭いのか!?


「木本君、水浴びでもしてきたらどうだ?」

「わかりましたよ……でもアスカさんだって、僕より戦ってたんですよ?」

「なんだと!? 私が臭いというのか!?」

「い、いえ……そういうわけじゃ……」

 怒り出すアスカさん。人には言うくせに……


「失礼だな! 嗅いでみるか!!?」

 アスカさんが立ち上がる。


「え!?そ、そんな……い、いいんですか?」

「!! 何を言っているんだ! 気持ち悪いな!」

 急に顔を赤くするアスカさん。


「キモオタ君……それはキモすぎますって……」

「……理不尽だな……」


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