35話 アスカさん酷使
モンスターは途切れることなく、次から次へと襲い掛かる。
「あ! キモオタ君! あそこにメタルスライムがいますよ!」
やっとレベルに必要なメタルスライムが姿を現した。
「くらえ!」
僕はメタルスライムに斬りかかる。
『カーンッ』
金属の体で出来たメタルスライム、ただのスライムとは違い防御力が高いようだ。
「くそ! 一撃じゃ無理みたいだ……」
僕がメタルスライムに手こずっているその時、
「キモオタ君! 危ない! 後ろ!」
ガイドが声を上げる。
振り返るとモンスターが僕の背後に。
メタルスライムに夢中で後ろから僕を狙うモンスターに気が付かなかった。
「しまった!」
モンスターは僕に襲い掛かる。
「くっ……」
「木本君! 動くな!」
「アスカさん!?」
アスカさんがどこからともなく現れる。
モンスターの振り上げた拳を目にもとまらぬ超高速で斬る。
「後ろは大丈夫だ! 君は自分のモンスターに集中しろ!」
「アスカさん……頼りになります!」
後ろは完全に無視し、僕は目の前のメタルスライムを倒す。
レベル5の僕と最高級品 勇者の剣があればこのクラスのモンスターでも倒せるぞ。
「よし! あとメタルスライム4体、その後はダークゴブリン10体です!」
「いいぞ! 他のモンスターは倒すなよ?」
「はい!」
ガイドの言う順番通りに倒さないとまたやり直しになってしまう。
つまり、襲い掛かるほとんどのモンスターはアスカさんに任せないといけない。
僕らに襲い掛かるモンスターはアスカさんがさばく。
「ハアァァアッ!」
『ザッザッ』
「すごいな……アスカさん」
僕は次のメタルスライムが出るまで待機だ。
「ハアァァアッ!!」
『ザッザッ』
「アスカさん! つよい!」
「ハアァァアッ!!!」
『ザッザッザッザッ』
「アスカさん! がんばってください!」
アスカさんは次々と近寄るモンスターを斬る。
「はぁはぁ……暇そうだな木本君……」
「メタルスライムしか倒せないもんで……」
「……ちょっと私だけ働き過ぎではないか……?」
「すいません……」
がんばれ……アスカさん……
斬り続けるアスカさんに守られながら、僕は次のメタルスライムを待つ。
僕らの合宿は始まったばかりだ。




