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32話 モンスターのるつぼへ

「木本君レベル5になったのか! すごいじゃないか!」

 アスカさんは僕のレベルアップを喜んでくれた。


「へへ、アスカさんの剣のおかげですよ」


「ふふ、まあそうだろうな!」


「……」

 もちろんいい剣だから間違いなのだが……



 僕はアスカさんに相談した。


「なるほど、レベルアップに必要なモンスターのだんだん珍しいモンスターになってくるのか」


「はい、それで色んなモンスターの現れるダンジョンへ行ってみたのですけど……」

 僕はアスカさんにお願いする。


「うーん……もちろん高レベルなダンジョンを教えることはできるが……木本君はレベルが上がったとはいえまだレベル5だ。ちょっと強いモンスターに遭遇したらひとたまりもないぞ?」


 当然、アスカさんは心配しているようだ。


「……そうなんですよね」


「それにそんなに都合よくレベルアップに必要なモンスターが見つかるダンジョンもないだろう」


 スライムのダンジョンに行けば様々なスライム族がいる。

 しかしゴブリン族は出てこない。そのたびにダンジョンを移動している時間はないのだ。


「あ! あそこなら……」

 アスカさんがなにかひらめく。


「ダンジョンではないのだが……富士の樹海に様々なモンスターがうろついているエリアがあるな……」


「聞いたことありますね。たしかダンジョンから逃げ出したモンスターが集まってるって……強力なモンスターもいて半端な冒険者じゃ手出しできなって」


「そうだ、モンスターのるつぼ、何て呼ばれている。あそこならレベルアップに必要なモンスターも簡単に見つかるかもしれないな」


「……でも……強いモンスターもいるんじゃ……」

 さすがにそんな強いモンスターは僕じゃ無理だろう……


「そうだ、だから……今回は私も一緒に行こう」

「え? アスカさんが!?」

 嬉しいサプライズだった。


「ああ、ちょうど今の仕事が来週には一段落する」

 アスカさんはギルド竜の牙の剣士だ。毎日ハイレベルなダンジョンのボスを討伐し、市民の平和を守っている。


「アスカさんが来てくれるなら……心強いです!」


「よし! ちょうど木本君も来週から夏休みだろ? 合宿をするぞ!」


 合宿!? いいな……アスカさんと合宿なんて夢のようだ!


「いいですね! 一気にレベル50まであげますよ!」


「ふふ、頼もしいよ。じゃあ来週までは体を休めておけよ? 地獄の合宿になるぞ!」

 ニヤリと笑うアスカさん。


「は、はい……」


 レベル上げ合宿……つらいだろうがこの合宿でネクロマンサーを倒せるレベルまで上げないと……サクラちゃんが……


「じゃあ私は仕事に戻るよ」

 アスカさんは仕事に戻るようだ。


「あ、忙しいところすみません! ちなみに……今の仕事ってどんなダンジョンなんですか?」


「ああ、これから行くのはS級ダンジョン ダイアモンドゴーレムのダンジョンだ。まあ2,3日で片付くだろう」


「……S級……」

 改めて世界トップレベルのアスカさんの凄さを感じた。


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