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26話 VSスライム

 こうしてアスカさんのおかげで僕はすぐにダンジョンへ行けることになった。


 おまけにアスカさんはギルドのデータベースから最寄りの弱いダンジョンもいくつか教えてくれた。


『子供でも倒せるくらいのレベルの低いモンスターしかいないダンジョンだ。

 ここなら木本君でも大丈夫だろう』

 電話の向こうでアスカさんが言う。


「ありがとうございます! 行ってきます」


『ああ、気をつけてな。 ……そういえば、木本君、今日学校はどうした?』


 しまった……アスカさんには学校にはちゃんと行くように怒られたばっかりだった……


「……え? ああ…… か、開校記念日で休みなんですよ……」


『開校記念日? 本当か?』


「は、はい……」

 僕はとっさに嘘をついた。


『怪しいな?』

 僕の嘘を見抜いてそうなアスカさん。


「ほ、ほ、ほ、本当ですよ! じゃ、じゃあ行ってまいります!」


『あっ! 言い忘れたが弱いダンジョンだがボスだけは――』


『ピッ』


 僕は急いで電話を切った。


「ふぅー、危なかった!」

 学校をサボってダンジョンへ行くのがバレたら間違いなく大激怒だ。


 最後にアスカさんが何か言いかけた気がするけどまあいいだろう。


 ◇


 さっそく、僕とガイドはアスカさんの手配してくれたダンジョンへ向かう。


「キモオタ君はまだレベル0なんですから、ザコモンスターといえども危険ですよ!

 気を抜かいないでくださいね」


「そうなんだよなぁ、アスカさんからもらった剣でどれくらいやれるのか……」

 僕はアスカさんの剣を握りしめる。


「いざとなったら私も戦います!」

 ガイドは小さい拳を突き出す。


「手のひらサイズの妖精の援護か……頼もしいよ……」



 ダンジョンに入る僕ら。


 ザコダンジョンということもあり、そこまで恐ろしい感じはしない。


 これくらいのダンジョンは中学生の遠足でモンスター討伐体験で来るくらいだろう。

 ……まあレベル0の僕には厳しいダンジョンだ。


「えーと、レベルアップに必要なモンスターはなんだっけ……?」


「スライム10匹連続で倒して、次にゴブリンを5匹連続に倒してください!

 順番も守らないとダメですよ」

 ガイドがすぐに教えてくれる。


「もしも……スライムを5匹倒した後にゴブリンが襲ってきたら……?」


「……その時は逃げてください! 倒しちゃダメですよ! 初めからやり直しになります!」


「……厳しい戦になりそうだ……」

 倒す順番を守らないとダメか、気をつけないとな。


 ◇


「あ! スライムがいますよ! キモオタ君、出番です!」

 さっそくレベルアップに必要なスライムが飛び出してきた。


「うおぉぉぉ! くらえ!!」

 僕はスライムを斬る。

 僕の人生で野生のモンスターとの初めての戦いだ。


「ピーッ!」


「倒したか!?」

 スライムは苦しそうに悶える。


 しかし、弱いとはいえスライムもモンスターだ、甘くはない。

 スライムは僕に体当たりし反撃する


 レベル0の斬撃はスライムを倒すのも一苦労だ。

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