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22話 ネクロマンサー

 「ネクロマンサーというのは魔王の側近のモンスターです……黒魔術を使うと聞いたことがあります」

 ガイドが語り始める。


「黒魔術!?」


「黒魔術の呪いのせいで寝たきりの状態になっているのでしたら……医学では治せません」


「そ、そんな……どうすれば呪いは治るんだ!?」

 不安そうな表情になるアスカさん。


「呪いを解くには、呪いをかけたモンスター……つまりネクロマンサーを倒すしかありません」


「そうなのか……」


「ちなみに呪いにかかって100日を過ぎると……死んでしまいます……」


「ッ!! そ、そんな……」

 アスカさんは真っ青になる。


「アスカさん! サクラちゃんが呪いにかかったのはいつですか!?」


「ちょうど2ヶ月前だ……」


「あと40日くらい……ですか……」


「く……。こうしちゃいれない!」

 部屋を飛び出そうとするアスカさん。


「待ってください!」

 ガイドが呼び止める。


「いま焦ってもどうにもなりません!」


「し、しかし……」

 今にも泣きだしそうなアスカさん。


「40日あれば……十分です!」

 自信満々なガイド。


「え?」


「40日でキモオタ君をネクロマンサーを倒せるまでレベルアップしてもらいましょう」


「……たった40日で木本君はそんな強くなれるのか?

 やはり私が……妹の仇は私がうつ」


「間に合うはずです。

 それにアスカさんは剣士ですよね? ネクロマンサーを倒すには剣だけでは難しいです」


「そうなのか……?」

 悔しそうなアスカさん。モンスターにも弱点や相性があるのだろう。


「でも大丈夫です! 幸いこちらにはキモオタ君がいます!」


「ぼ、僕!?」


「はい! キモオタ君にネクロマンサーを倒すための光魔法を使いこなしてもらいましょう!」


「ひ、光魔法!?」

 僕が光魔法だって!?


「キモオタ君には光属性のスキルがあります。まあまだクソザコですけど」

 クソザコ……でもかっこいい! 勇者っぽい!!


「キモオタ君!」


「なんだガイド!?」


「明日からビシバシ鍛えますからね! 覚悟しておいてください!」


「ああ、任せておけ!」

 僕がサクラちゃんを、いや、アスカさんも救うことが出来るかもしれない。

 僕がやるしかないんだ!


「チビスケ……」

 涙目のアスカさん。


「……わ、私にも妹がいるんですよ……。あなたの……アスカさんの気持ちは痛いほど分かります!

 でも、一人で突っ走ってもダメです! 私たちはパーティーなんですから!」


「……ありがとう」

 ガイドの言葉に涙を流すアスカさん。その姿はいつもの強い剣士ではなく、ただのお姉ちゃんだった。


「アスカさん。僕に任せてください」


「ああ……妹を助けてくれ!

 レベルアップに必要なことがあれば私も協力させてもらうぞ」


「もちろんです!

 ……そ、それでアスカさん……さっきの話なんですけど……」


「ん?」

 涙を拭うアスカさん。


「あの……アスカさんを……す、好きにしていいって……」


「木本君……君ってやつは……呆れたぞ……」

 ゴミを見るような目で僕を見るで僕を見るアスカさん。


「キモオタ君……人の弱み漬け込むなんて……最低ですね……それが人間界のやり方なんですか?」


「……」


 急に結託しだした2人の乙女たち。

 脳内の『卒業』は鳴りやんでいた……

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