13話 精霊のダンジョン
ヘリコプターはあっという間だった。
そりゃVIPはヘリコプターを使うわけだ。
現地にはギルド竜の牙のサポートメンバーが待っていた。
昔、『週刊ダンジョン』で見たことある面々だ。
トップランクのダンジョン冒険者、格闘家に魔法使い、それに最強剣士のアスカさん。
「お、君がキモオタ君だね」
屈強な格闘家が話しかけてくる。
「は、はい……」
うわぁ、有名な冒険者だ……サイン貰いたいな。
しかし、ここでもキモオタが定着していたか……
「ダンジョンは初めてってことだけど、俺たちがサポートするから安心してよ。
といってもこの精霊のダンジョンはちょっと特殊だけどね」
「はい。よろしくお願いします」
強くて優しい人たちだ。これがトップ冒険者……村田みたいな半端モノとはこうも違うものか。
精霊のダンジョンを前、にアスカさんが今回のダンジョンの説明をしてくれる。
このダンジョンは入るとすぐにボスステージ。
ステージに侵入する冒険者のレベルの10倍のレベルの力を持ったボスが現れる。
ステージに入るのはもちろん僕一人。他のメンバーはステージの外から見守る。
こんな豪華な冒険者を集めてもらって僕とレベル0のモンスターの熱いタイマンを見てもらうのは忍びないな……
「頑張ってくれよ、キモオタ! なんかあったら俺らが助けからよ」
「とはいっても私たちがボスステージに入ると強力なモンスターが出てきちゃうわけだからね……見殺しになっちゃうかもしれないけど」
優しい格闘家と、サラっと恐ろしいことを言う魔法使いのお姉さん。
この人も『週刊ダンジョン』に出てたトップ冒険者だな。
「が、がんばります……」
責任重大だ……期待されるのは初めての経験だ。
防具を装着し、剣を握る。
レベル0の僕でも振り回せる重さの武器を用意してくれているが、さすがに剣はずっしりと重い。
「レベル0のモンスターというのがどんなものか分からない。しかし、この剣で一撃入れられればそれだけで勝てるはずだ」
アスカさんが僕にアドバイスをくれる。
「はい……頑張ります」
「頼むぞ……」
アスカさんは心配に僕を見る。
「はい……あっ、約束も忘れないでくださいね……」
「……」
おいおい、アイドルとのデートは大丈夫なんだろうな!?