勇者の帰還ー2
「あれ、おかしいなぁ。
時間、間違えてるのかなぁ。
時計、壊れちゃったとか?」
すき焼きの用意が済んだ食卓に、惣三郎、奈緒子、綾子が座っている。
キッチンではコンロの上に、オニオンスープがたっぷり入った大きな鍋が鎮座していた。
マコトとジンはソファで待機中だ。
匂いに耐えながら、アサヒがリングフィットをプレイしている。
7時10分を過ぎた。
いつもなら、とっくに飯をがっついている頃だ。
来ない。
7時30分。
卓上コンロの火はすでにに落ちていた。
ソファにマコトとジンと綾子が座っている。
アサヒは、汗だくだ。
「ちょっと、アサヒちゃん、休みなさい。
もう、今日はいいわよ。
あの子がごめんなさい。
きっと、何か急用でも入ったのよ」
全員から止められても、アサヒは、8時過ぎまでリングフィットをやめなかった。
「完全に、オーバーワークだ」
綾子が心配して残りたいと申し出たが、マコトとジンが帰らせた。
マコトが、座り込んだアサヒの肩をつかむ。
「アッちゃん、アッちゃんが頑張ってくれるのは嬉しい。
だけど、今、扉はアッちゃんの力がないと開かない。
だから、体を壊すような真似はやめてくれ」
「アメノウズメノミコトの守札を渡されたのは賢明だったと思います。
私の方でも、何かできないか、探ってみます」
マコトは、アサヒを風呂に叩き込むと、出てくるまでそこに座り込んだ。
3人ですき焼きを食い、来客用布団を出させて泊まった。
翌朝、ジンは朝早く出ていき、アサヒとマコトはそれぞれの時刻に仕事に向かった。
アサヒがオーバーワークに陥って体を壊すことを恐れたマコトとジンは、1台のベッドを買い込み、寝室に置いた。




