勇者とバイオハザードとー1
桜にはまだ早く、梅が綻び始めた3月のこと。
大介がマコトに謝った。
「すまん。言っていなかったか」
俺の心配はなんだったんだ・・・と、マコトが崩れ落ちた。
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「そういえば、アッちゃんはリングフィット以外のゲームもやっているの?」
「一応、ゼルダを、たまに、やるよ」
大介から話しかけられたアサヒが、ニーズトゥチェストをこなしながら答える。
今日はもう食事を終えたらしい。
マコトがビデオの充電状況を確かめている。
今回は持って行ったビデオカメラが2台壊れたようだ。
1台はレンズが割れ、1台は高熱でも浴びたのか少し溶けている。
「カードもダメんなってんな。こりゃ」
「新しいカメラまだあるのか?」
「ああ、おじさんが予算出してくれてるから、4台は予備あるよ。持ってくるから待っててくれ」
戦闘が発生する以上、物の破損は避けられない。
カメラの残骸を持ってきたこともある。
それだけの戦闘が日常的に行われているのだろう。
クローゼットから取り出したカメラに、充電済みの電池をセットし、ケースに入れる。
「で?ゲームがどうしたって?」
マコトが尋ねる。
「俺が向こうに攫われた時にさ、バイオの新作が今度発売されるって言ってたのがどうなったかなって」
「あぁ、昔からあのタイプのゲームよくやってたもんな」
マコトはよく知らないので、アサヒに視線を向ける。
「僕は、苦手、だったから。
急に、ゾンビ、出て、くるし」
アサヒは息を荒げて言った。
「えっと、去年発売されてるよ。やってないから内容わからんけど」
「了解。戻ってきたらやってみようかな」
大介がテーブルにアゴ肘をついている。奈緒子に見られたら怒られそうだ。
だが、用事があるという奈緒子は食事だけ作って帰って行った。
珍しくアサヒ・マコト・大介の3人だけだ。
「・・・ダイちゃんがバイオハザードの中心になる可能性はないのか?」
少し、言うべきか悩んだがマコトは言った。
「俺の身体に付着したウィルスは、アレの魔法で殺菌してもらっている。
俺が最初に日本に帰ってくる時に、バイオハザード*を起こすわけにはいかないって強く頼んだ」
簡単に答えが返ってきたことに驚いたマコトが大介を見つめる。
「すまん。言っていなかったか」
マコトが安堵で崩れ落ちた。
非常に有名なゲームタイトル。
だけど、今回はその元ネタの『有害な生物による(によって引き起こされる)災害』の方。
コロナもそうなのかなぁ。




