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悲しき熱帯

これまでで、最長です。

宜しければ、お付き合いください。


すいません。先に謝ります。

ごめんなさい。


これでも随分オブラートに包んだんです。

 クロード・レヴィ=ストロースは、フランスの社会人類学者・民俗学者だ。


 2009年に100歳で亡くなった。

 諸処端折るが、先住民族の神話研究を中心に行った。

 また現代思想としての構造主義の一端を担った人物である。


 民俗学とは、文化の進んだ国あるいは民族について、一般庶民のつくりあげてきた文化の今日に至るまでの発展の模様を研究するものである。

 そのより古い文化の姿を知るについて、進んだ庶民生活のなかになお残っている古い文化の姿、いわゆる民俗とか民間伝承というものを尋ねてゆくことを特色とする。


 著書に『悲しき熱帯』*という本がある。


『世界は人間なしに始まったし、人間なしに終るだろう。』


 この一文が非常に有名な本書は、優れた未開社会の分析と、ヨーロッパ中心主義に対する批判により後にセンセーショナルを引き起こした。


 以下のように要約している人もいる。


「未開人だ野蛮人だ、文明にとり残されて気の毒だと、偏見でものを見るのはよそうではないか。

 彼らは、繊細で知的な文化を呼吸する、誇り高い人びとだ・・・。

 物質生活の面では簡素かもしれないが、なかなか『理性』的な思考をする人びとなのだよ」


 ******


「結局は、異なる文化に敬意を持って対応することができるか、と言うことだと思うんです。

 自分達の文化が進んでいて正しい、なんて思うとアウトです」


 ハルカ、なんか重ねてない?


「マコトさんが熱心になっていたので、私も異世界物というものをいくつか拝見しました。

 とても楽しいアニメや興味深い小説もあったのですが、いくつか気になる作品がありました。

 この映画では、科学技術や社会形態についての情報を、異世界に伝えないということでしたが?」


「あ、はい。マコっちゃんからも、『旅の途中で生きるか死ぬかの時に、余計なことはしていられない』という話が出て、止めました」


「だってさぁ、旅してる時に『最新の技術情報だから!』って、違う国の言葉で書かれた技術書を渡されても困るだけじゃん。文法もわからなくて解読する辞書も無いのに、あんまり詳しくもない通訳さんが口頭で説明してくれたって内容なんてわからないよ」


 マコトがハルカのボトルを引き寄せて、水割りを作り始めた。

 ・・・随分と水が多いよ?


 アサヒはそれを横目で見ながら答えた。


「レオナルド・ダ・ヴィンチのような『万能の天才』でもなければ、無理でしょうね」


「でも、西野さんたちは、なぜ異世界転移ものを作ろうと思ったんですか?」


「僕がメインでは無いですよ?

 先ほどもお話しに出ましたが、流行り・・・ですかね?

 詳しくは知らないんです」


「流行っているようですね・・・」


 ハルカが宙を見つめ考え込んでいる。

 大丈夫?そろそろお酒ストップ?


 お豆腐、崩れないように気をつけてね。


「いくつかの作品を見ましたが、普通の学生やら引きこもりが、異世界に行くとスーパーマンです。

 人見知りがあっさり治って、1度も触ったこともない手押しポンプを開発します。

 昔から料理ができて、レシピもないのにケーキも作れて・・・、どうしてボッチなんですか?

 絶対人気者じゃないですか」


 グラスに少しだけ口をつけたが、何かを思い出したの話し続ける。


「そんな人材、人手不足に喘ぐ全国の製造業者が首根っこ掴んで離しません。

 異世界に行こうが、なんとしてでも攫って来ます。

 職人さんに『人手がないから受けられない』と断られる気持ちがわかりますか」


「すいませーん。ハイボールと梅酒ロック追加でー」


 マコト。諦めるな。なんとかしてくれ。


「童貞がちょっとセックスしたら、女の子がメロメロですか?

 女性をなんだと・・・。

 その辺のカップルは、みんなご主人様と性奴隷の集まりだとでも思っているんですか」


 それ、嫌な世界だね。


「まあ、Hなことに興味津々の、お年頃の世代がターゲットですから」


 苦笑いしたアサヒが梅酒を飲む。

 お前、まだ正座してたのか。


「主人公が何も変わらなかったら、話の展開に困るからっしょ」


「そうですね。

 ブレインウォッシュして、肉体改造して、整形してやれば、容易く変わるでしょう」


「雪村さん、それは別人って言うんだ。

 もはや違う人だよ・・・」


「それでも、異世界行って真人間になる可能性があるのなら、ヤツを叩き込みます」


 ハルカ。なんか、溜まってるんだね。

 マコトが作った水割りをすぐに飲み干した。


「あの野郎、散々私たちの仕事を遅らせた挙句、お詫びにとか言ってケーキを持ってきたのはまだしも・・・」


「どうしたの?」


「何が『雪村くんは食べたものがどこに行くのかなー?』ですか。

 私の胸をジロジロ見て・・・。

 ヤツを異世界に連れて行ってくれませんか」


「うん。大変だったねー。あとでその人の名前教えてねー?」


 マコト、その焼酎は結構濃いな。もっと水を入れろ。

 ・・・聞き出す方向に切り替えたか。


「そうですね。

 前途有望な若者は日本で就業してもらい、パワハラ・セクハラ野郎どもを異世界リメイクしてもらいましょう。

 みんな幸せになれます。

 最悪、後者だけでも構いません。

 行ったきり帰してもらわなくても構いません。

 少なくとも、私は幸せになれます」


「そんな人達なら、異世界人も熨斗つけて帰してくれそうですね」


 その後も、

 レシピがあっても、食材が異なれば分量なんてどうするんだ。

 菓子作りを馬鹿にしているのか。

 パティシエに土下座死ろ。

 などと呟いている。


「あ、僕、ちょっとお手洗いに」

「ボクも」


 逃げやがった。





『男性用お手洗い』と書かれた青い暖簾の前で、緊急ミーティングが開かれている。


「ごめん。アッちゃん。

 ここ1〜2ヶ月、ハルカはすごく忙しかったんだ。

 年末進行もあったのに、なんか、クライアントとトラブルになったとか。

 自分達の都合だけ押し付けてきて、こっちの話は全然聞いてくれないって。

 セクハラもあったのか。

 思ってたより、溜まってた。

 もう少しだけ付き合って」


 マコト、口調が真剣だな。


「僕は全然良いよ。気持ちはわからないわけじゃ無いしね。

 それより、雪村さん、お酒のペースは大丈夫?」


「俺よりアルコール強いけど、気をつけておくよ。

 言いたいことは、全部吐き出させてあげたい」


「わかった。

 ちょっと空けるから、先に戻ってあげて」

*神話などがお好きな方には特にオススメです。

多分どこの図書館でも取り扱いがあるかと。

正直読みにくい文章構成ではあるんですが、非常に興味深かった・・・気が。


昔読んだはずなんだけど、記憶が・・・。

睡眠導入剤として非常に有効。

一瞬で落ちたことは覚えています。


特定の作品に対する誹謗・中傷や意見ではありません。

筆者が似たようなことを言われたことがあるだけです。


受け取れないブーメランが刺さりまくってます。

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