げきど と げきどう
アサヒは激怒した。
必ず、かの邪知暴虐のマコトを除かなければならぬと決意した。
アサヒには女心がわからぬ。
アサヒは、フィットネスランナーである。
仕事をし、リングと遊んで暮らしてきた。
けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
今日未明、アサヒはマンションを出発し、野を越え山越え、タントで30分離れた実家にやって来た。
アサヒには父と、母はある。女房はない。
「あんた、宮神さんとこの綾子ちゃんといい感じなんだって?どうなのよ」
実家に荷物を取りに戻ったところ、母(仮)が言ってきたのである。
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「マコっちゃん、話したでしょ!」
「話してますん」
「どっちだよ!!」
すぐに今井酒店にダッシュすると、いつものポロシャツ姿のマコトがサボって煎餅を食っていた。
インナーはユニクロの超極暖のロンTか。暖かいね。
「だってさぁ・・・あんだけチュキチュキビーム撃たれてた奴がやっと気づいたんだもん。なに?付き合いたくないの?俺、結構気を利かせて行かなかったりしたんだよ」
「いや、そうだけど、そうじゃなくってさ」
煎餅を食い終わると指折り数える。
「6、7、8、9、10、11、12月って!もう再会してから半年以上じゃん!ヤれ!押し倒せ!一人暮らしの男のところに飯を作りにくる女だ。脈アリに決まってる!」
「『ダイちゃんのご飯』を、『ほとんどナオちゃんと一緒』に、『時にはおじさんも一緒に』だ。
むしろナオちゃん一人の方が多かったかもしれないよ」
「そういや、アッちゃん、おばさんのこと・・・。わかった。俺がおじさんは上手い事連れだしてやる。おばさんも悪い気は・・・」
「アホか!」
珍しく、アサヒがマコトを叩いた。
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「正直、あやちゃんと付き合いたいよ。
でも、経済格差云々の前に、ダイちゃんが帰ってこないことには違うと思うんだ。
なんか・・・ダイちゃんの交換条件みたいな感じ、出ちゃうというか。
いや、別にリングフィットやめないよ?
でもさ、ウチって僕がいない時はお化け出るんでしょ?
危ないゴーストマンションに彼女を入れられないよ」
「ヤる時ラブホ行けば?」
マコトがお茶をすする。
「いや、マジな話、気にしてんのアッちゃんだけだから。おじさんとおばさんは100%歓迎してくれるよ。賭けてもいい。ま、ちょっとジンさんに電話すっか」
一度やってみたかった。
ただ、それだけです。
反省はしてます。ごめんなさい。
たまにマコトに白のタンクトップ着せて、白の太めのパンツを履かせたくなります。




