宮神家に行こうー2
20畳近くある広い居間で、大介の父、宮神惣三郎がソファに腰掛けてコミックスを読んでいる。
ブルーのデニムパンツの上は、白地に赤の字でギャップロゴがプリントされたTシャツ姿だ。
ミディアムヘアを無造作に後ろに流している。
60近い筈なのにせいぜい30〜40代にしか見えない。
読んでいた本を閉じるとテーブルに置き、マコトとアサヒに反対側のソファに座るよう促す。
壁にかけられた青銅でできた龍の彫刻は20年前のままだった。
「さあさあ、とりあえずは座りなさい。
アサヒくんか。久しぶりだね」
「おじさんもお変わりないようで、というか、全然お若いですね」
「ホント若いっすね。ウチのハゲオヤジと本当に同年代なんすか?」
「さてね。気持ちは若いつもりだが・・・。
あ、マコトくん。この間はありがとう。
また『マコトセレクション』頼むね」
「おば・・ナオちゃんにバレてるみたいですよ。この間のセット」
「本当かい?」
「真面目な顔して何を読まれているのかと思ったら『シティーハンター』*じゃないですか。
懐かしいなぁ。昔お邪魔した時によく読ませてもらいましたっけ」
奈緒子が盆に急須と湯呑みをのせて居間に入ってきた。
それぞれに緑茶を淹れてくれる。
惣三郎の隣に座った。
「パパ。私のシティーハンター濡らさないようにしてくださいね」
「あれ?ナオちゃんの本でしたっけ?」
「そうよ。リョウ様は私の初恋の人なんだから。
それなのに、あんたらときたら汚い手でベタベタと・・・。
もう新しいのに買い替えたわよ!」
「そりゃサーセンした」
「まったくもう・・・。
アサヒちゃん。
せっかく来てくれたのに悪いわね。
マコトから聞いてるかもしれないけれど、大介のバカはどっかに雲隠れしてるのよ・・・。
そんなに跡を継ぎたくないなら、そういえばいいと思わない?」
アサヒと顔を見合わせたマコトは、持ってきたバッグからノートパソコンを取り出し二人に見せた。
アサヒもゴルフバッグを開けるとシーツに包んだ棒のようなものを取り出して、テーブルに置いた。
「そのことで話があるんです。落ち着いてこの動画を見てください」
・
・・
・・・
奈緒子が倒れた。
「えっと、まず先に謝らせてください。日本刀折っちゃってすいませんでした」
「俺も石灯籠・・・」
「いや、その事は知っていたよ。むしろ隠せていると思っていたことにビックリしたよ」
惣三郎は、奈緒子の額に絞った濡れタオルを当てながらつぶやく。
「あと、ダイちゃんが持ってきたショートソードと金貨ですが・・・」
「金貨だけ預かろう。知り合いに鑑定してもらう。
剣はねぇ・・・来週大介に持って帰らせるか。
大介の奴、こんなもの持ってきて、何を考えてるんだ」
色々騒ぎが起こったが、23時間を過ぎた頃、アサヒとマコトは宮神家を後にした。
「日曜日にみんなでアサヒちゃん家行くわね!」
という奈緒子の言葉を背にして。
*1985年から1991年にかけて連載していた伝説的な漫画。
ジャンプ黄金時代の礎を築いた一角と言える作品だね。
色んな意味でとっても大人な主人公は、男女問わず大人気でした。
『劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>』は、新宿のTOHOシネマズ(だったと思う)で観ました。
劇中歌をまとめた『VOCAL COLLECTION』を買って帰りました。
とっても良かったです。
今のジャンプに大人が主人公の漫画ってあるのかなぁ。
最近読んでないからわからないっす。
ちなみに、奈緒子は本当はフィアットパンダか赤地に白ラインのミニクーパーに乗りたかったようです。
まあ、古いモデルですし、安全性能とか考えるとしょうがないよね。
大島紬をさらっと着こなすダンディなおじさまが出てくるはずだったのに!
なんでシティーハンター読んでるんだよ!




