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エピローグ
眠気をもよおす聖なる言葉はまだ続いている。
わたしは目をつぶる。いろいろな疲れが出てきて、本当に眠っちゃいそう。
ユーリはこっそりとわたしの手を取った。大きな男の手だ。
待ってて、という小さな声と小さな好意に、わたしは気付かないふりをする。
六年後のことなんて分からない。
ユーリが本当の大人になってもこの好意を持ち続けるのか。
その前にわたしが大恋愛の末結婚するのか。
やっぱり聞き分けよく政略結婚するのか。
ああ、この可能性が一番高かったりして。みなに気付かれないようにくすりと笑う。薄目を開けて、まわりの仲間を見る。
『神聖なる金色』クリスはグスタフ様の詠唱に加わっている。
『光の騎士』ジェイはクッションを抱えて、不機嫌そう。あれはお腹が減っている顔だ。
『漆黒の魔術師』キースは視線を感じてかわたしに目を向け、何か言いたげにわたしのつないだ手に目を落とした。
この仲間たちと、また冒険に出発しているのか。
わたしは目をつぶる。
本格的に眠りに落ちていった。
おわり