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オークキング討伐

 俺は適当な依頼を探す事にした。昨日は体よく移動もほぼないところがあったのだが、今日はなかなか出ていない。


 そこへリノアが、


「クロードさん! 街の外にオークキングが出ました。急募の討伐依頼です。適性ランクAランク報酬二千万エリー。こんな案件滅多に出ませんが」


 一日以上たつとレイド(大編隊討伐案件)に速やかに移行されるらしい。

 それほどの危険をはらんだ案件だ。


 実はリノアには昨日帰り際に超高額案件が掲示以外でも出たら、教えてもらうよう伝えてある。完全にリノアの画期的な手続きミスを利用させてもらい申し訳ないが、この後ろ盾はほんと助かるんだ。


 とにかく今は日銭を稼ぐためだけになる生活は、打破するべきだと考えている。

 今日レアーヌが加わったことで、更にその必要性が高まった。

 こいつを育てるには討伐依頼だけをこなしながらの片手間ではできない。俺自身本気で取り組むのが礼儀だと思ったからだ。


「わかった。リノアさんありがとう。依頼受けるよ」


「レアーヌ。多分今日は何故俺がお前に剣士を勧めたのか分かる案件になるかと思う。しっかり見ておくんだ」


「うん! わかったわ。あんたの言う事だもんね。考えがあるのよね」


 今日は確かにレアーヌに剣士の何たるかを認識させるにはもってこいだ。

 この世界のオークキングにも実は興味があった。


「じゃあ行ってきます」


 リノアに手を振った。


 街の外門を抜けて一キロほど歩いたところに、陣取ったオークの親玉がいた。

 通常はオークを率いているオークキングだが今日は単体。

 理由が……なるほど冒険者達の亡骸が。離れたところにオークの死骸も多数。

 急募を出したのはこの冒険者達の斥候だ。冒険者達の過失でここまでオークキングが、やってきてしまったようだ。おそらく経験の浅い一組がモンスタートレインしてしまい他のパーティーにまで被害が及んだのだ。その結果なんと四人組パーティーが三組全滅したとのことだった。


 パーティー三組で何とか大量のオークと拮抗保ってたところに、この親玉が来たってわけか。

 残念だけどやはり冒険者達が連れてきたと言う事になりそうだな。


 そうはいっても、このキングをのさばらしては街自体が危ない。


「レアーヌ。今から本当の剣士の戦い方をお前に見せる。泥臭いとか汚いとかそういった観念は持てなくなるぞ。ただし後衛職よりも命の大切さを体験できるかもしれないんだ。後衛がいようがいまいが、自分を犠牲にするのが剣士の仕事なのだからな」


「分かってるわ。昨日のあんたの説法で十分ね」


「だから今日はしっかり眼に留めるわ。こんなにも多くの死者を出しているのだから、わたしはこの人たちの死を無駄にしたくない」


 オークキングが俺達に気付いた。

 真正面から向かって歩いたからな。

 アサシンの時のような姑息な手段は今日は使う必要はない。

 レアーヌの成長を促すのが目的だから。


 オークキングの武器は大斧。

 力任せに振ってくるように見えるが、速さもパワーも桁外れで、そこにオークやハイオークにはない精度が加わっている。

 明らかに知略が加わった魔物ととれる。


「まず地形が不利ではないかを確認しろ。相手の土俵になっていないか? 不利でもそこで戦闘を避けられない場合は一時撤退も考える。そして敵の大きさと素早さを見極めて、単刀にするか二刀流にするか決めるんだ」


「そうなのね。まず地面は問題なしだわ。このオークキングはどっちがいいの?」


「こいつはとにかく体が頑丈なんだ。手数を増やす二刀流では深いダメージが入りづらい。四人パーティーとかで後衛火力のための足止めなんかには有効なんだけどな」


「わたし達はずっと二人よね。どうするの?」


「いいか? 初撃より強い攻撃はない。何故かというと人間は疲労するからだ。本気の場合二撃目、三撃目が初撃を上回る事は絶対にないんだ。最初相手を警戒した場合の様子見の場合は防御もとりやすい二刀流も有効だけど、このオークキングは特殊能力は多用せずとにかく大斧での力推しだ。こいつに有効なのは単刀による一撃必殺だな」


「そんな方法あるの?」


「まず威力をあげるぞ」


「【炎属性付与(エンチャントフレイム)】!」


 俺は一本のシルバーソードの刀身に炎属性をまとわせた。

 刀身が真っ赤に変色した。


「よーく見てるんだ。地味かもしれないけど必ずこれからのレアーヌの指針になる」


「わかったわ」


「縮地!」


 俺は高速一刀切りに出た。

 オークキングはもちろん大斧を身構えて横に薙ごうとしていたが、すでに俺はオークキングの懐に入り、わき腹を分断して通り過ぎた後だった。

 オークキングの上半身が下半身から、ずるりと擦れ落ち、切り口から業火が発生した。

 そこには断末魔を吐かせる時間すら与えない。


「すごい……」


「敵の性向と特徴を掴む事も大事だけど、なかなかそう行かない時は、この一刀両断切りで敵に間を与えず切り伏せる。大事な事だ」


「わたし今まで前衛を侮辱するような戦い方をしていたんだわ。だから、いい顔されずパーティーの関係も良くなかったのね。あんたが必死に考えて戦ってる姿見て分かったわ。わたしにはこの泥臭い戦い方が似合うの。今までの事は忘れてはいけない事だけど、戦いでこれだけ犠牲が出ている中、自分だけの独壇場なんか不要だわ。絶対いい剣士になってみせるわ」


 俺が言いたい事は伝わったようだな。


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