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スライム

 今日も朝早くから俺達は、世界の風紀を守るために働き続ける。最近は毎朝、皆で手分けして、どぶ掃除をして街の美化に努めている。これが、ゆくゆく人の心をも綺麗にし、風紀を守る事に繋がるのだ。


「おばあちゃん、もうこの側溝もなめられるくらい綺麗になったから、今日は他の事をしようか?」


 リーシャもマールも、アヤネも人の為になるのが嬉しいようで、どぶ攫いでも好んでやってくれる。


「いつもすまないね~。そういえば、朝から猫のミーちゃんの姿が見えないのよ。孫娘がすごく大事にしている猫なのよ……一度いなくなってしまった時、泣いて探し回って、その時お城の優しいお姉ちゃんに見つけてもらって、将来あのお姉ちゃんみたいになりたい! って言ってるような心の優しい子なのだけど……」


 ここはこの前の猫捜索の依頼を受けた家だ。孫娘は昨日から、校外学習に出ていると言う事で、おばあちゃんがミーちゃんのお世話を頼まれたそうだ。


「ミーちゃんなら姿形は分かるので、今すぐ探してきますね。クロード様はここでおばあちゃんとお待ちください」


 リーシャがそう言うと、二人を引き連れ外へ飛び出していった。

 彼女達に任せておけば安心だろう。


「彼女達ならすぐ保護してきてくれますよ」


「こんなことまでしてもらって悪いねぇ……あんな可愛いお嬢さんが3人もいて、あなたも夜が大変じゃないかしらねぇ……」


 そういう目でしか、みてもらえないのが痛い所だ。

 3人が戻ってきたのはすぐだった。


 そして、案の定ミーちゃんは、マールの胸に挟まっていた。

 マールのナイスアップルがよっぽど気に入ったんだろうな。仕方ないからミーちゃんにだけは、風紀に抵触する事を許している。


 ん? ナイスアップルじゃないと認めない?

 俺は胸の大きさでは決めないよ。


 胸の大きさからすると、マールが一番だろうか。

 でも必ずしも俺のランキングに胸の大きさはあてはまらない。チッパイでも美乳とかいるじゃん!

(二度目)


「ミーちゃん、わたくしを見た瞬間飛び込んできてくれました。とっても可愛いんです!」


「リーシャ、マール、アヤネ! ありがとう」


 おばあちゃんとミーちゃんに手を振り、詰所へ戻ることにした。


 風紀部屋の扉を開ける。なんだか雰囲気が慌ただしい。まだ早朝だ。


「あっ! クロード様。大変なんです! 出たんです!」


 開口一番、ミミが不吉な事を言う。


「あー。ゴキブリかー。大丈夫。そんな慌てるようなもんじゃないだろ!」


 気持ち悪さなら、変態勇者パーティーや、バカ殿下で慣れている。俺ならつまんでポイして終わりかな。


「いえ! 『スライム』です! 街のすぐ外に!」


 今日は騎士団が非番のエドワードが補足した。


「これは由々しき事態です。あれが街に入ったら、大パニックになり街が滅亡の危機を迎えます!」


「…………」


 スライムだって!?

 それは厄介な相手だ。

 何故かというと、魔物のクセに女の子好きなんだ。


「やつは女の子の服だけ狙うくらいの狡猾な知能を持ってるんだよな?」


 スライムは、昔から特殊な生態をしていて、特殊な消化液で服だけを選定して溶かして、女の子を辱しめる凶悪な魔物だ。

 俺はエドワードに詳しく聞いた。


「はい! 間違いなく高い知能を保有していて斬撃も効かず、魔法攻撃も取り込んでしまいます」


「…………」


 かなり厄介だ。

 俺は、考えを巡らせた。

 うん、これしかないか……やむを得まい。


「アーク! 今回は、お前が激しく必要になるんだけど……」


「クロードちゃん、わたしはいつでも覚悟出来てるわ! 朝からでもオーケーよ?」


 ん? なんか誤解されてないか?


「今から出来る限りの女装を頼む!」


「わかったわ! 御安い御用よ!」


 アークが衣装部屋へ走っていった。


「クロードちゃん、わたしはいいの?」


「ドイルは、普通のままでいいよ」


 こいつではごついからな。


「討伐メンバーなんだけど、俺、アーク、ドイル、エドワード! いいか?」


「御安い御用よ!」


「お付き合い致します」


 女装を完璧に終えてアークが戻ってきた。

 元々、顔立ちが整っていて美形だ。

 渾身の出来だった。

 そこらを歩いている女の子をしのぐ可愛さだ。

 シースルーのピンクのワンピース。チーク入っているし。

 ハッキリ言って、どうみても可愛い女の子。


 そして。街の外に出て間もなくだった。

 一匹だけポツンとうごめく物体。

 大きさは今は全長3m程。意外と大きい。水色で透き通っている。ぷよぷよだ。


 話を聞いたところ、発見したのは冒険者パーティーで、やはり女の子だけが被害に遭い、何と無残にも、服と下着だけ溶かされ、全裸にされてしまったそうだ。一緒にいた男達は何故か、なかなか手を出せなかったという。


「さあ! アーク! 出番が来たぞ!」


 アークを一人前に立たせた。



「わかったわ! で、わたしはどうすればいいの?」


「そのままそこに立っていればいいんだ」


「おい! エロスライム! そこにとびっきりの美女がいるだろ? この世のものとは思えない極上の美女なんだ。手土産にもってきたんだ!」


「え~! わたしおとりなの?」


 だってさー。お前。男じゃん!


 スライムはここぞとばかりに消化液をアークに向けてバラまいた。すごい手練れだ。わざと女の子が隠したがる重要な箇所だけ残して、アークの服がみるみる溶かされていく。

 あーこれは男だったら固まるな。俺もその自信がある。こいつが男だと知っていなければ。


 なんて手際の良さだろう。こうやって、じわじわと快楽を味わうスライムグッジョブ! いや許すまじ!

 大事な部分は下着だけ残して、あとはオール真っ裸なアークが出来上がった。

 エロティシズムの塊だな。だが男だ。


 さあ! 舞台は整ったぞ!



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