表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/51

テロップは便利です


 サトリア家の領地は帝国の東側にあったが、私たちの住まいは首都の貴族が住む界隈の外れにある。そして首都には数えきれないほどのブティックがあった。


 私はエリーともう一人メイドを連れて以前から贔屓にしているブティックへ来ていた。


「うーん、もう少しシンプルなデザインがいいかな・・」


 目の前にズラリと並べられたドレスを見て、目をチカチカさせながら私は言った。

 

 ドレスにぎっしりと縫い付けられたビーズやレース、ドレスが埋め尽くされそうなリボンの数々。色の配色も派手なんて域をはるかに超えてるわ。


 どうやらこの店のドレスは全部こんな感じのデザインらしい。考えてみれば()()ローズが贔屓にしていた店。


 私はローズのクローゼットにあったドレスを思い浮かべていた。彼女の好みなんだから当たり前なのかも。


 仕方ない店を変えるしかないわ。


「ローズ様、どちらへ参りましょうか?」

「困ったわねえ」


 派手派手ブティックの店先で少し考えていると


「あら、エリーじゃない?」


 30代位の品のいい女性がエリーに声を掛けた。


「あ、ミーガン様」


 私がその女性に視線を移すと、『ミーガン・クリストウ36歳・皇帝の第一皇妃・ジェームズの妹』


 と女性の胸元にテロップが浮かび上がった。


 へえ~こんなのが出るんだ! 異世界って便利じゃん! 思い出すまで時間がかかってたら怪しまれるもんね。


 そのミーガンはローズの顔をマジマジと見つめると


「まさか・・ローズなの?」

「ミーガン叔母様。はい、ローズです。ご無沙汰しております」


 相手は皇妃様なんだから丁寧にご挨拶しないとね。


 だがミーガンは少し面食らったようで、もう一度ローズの顔を見直した。


「あら、痩せたせいか態度まで大人びて見えるわね。ところでお買い物かしら」


 ミーガンの視線の先にはブティックがあった。ここがローズ御用達と言うことを知ってるのね。


「それが・・気に入るデザインが無くて困ってました」


 痩せてドレスが必要になった事、違うブティックを探すところだった事をミーガンに話した。


「それなら私がいい所を紹介するわ。ちょうど私も行く用事があったのよ」


 さすが帝国の第一皇妃様、侍女やら護衛の騎士やらをぞろぞろと引き連れていた。


 そのご一行様に加わった私たちは、派手派手ブティックから程遠くない上品な、それでいて豪華なブティックに連れられて行った。


 そこでミーガンにも見立てて貰いながら数着ドレスを注文し終えると、ミーガンは私をお茶に誘った。


「この先にスィーツがとても美味しいお店があるのよ。ローズはスィーツに目がないでしょう?」


 まだダイエット中だったが無下に断るわけにもいかず私はミーガンに従った。


 向こうの世界での私はスリムだったし、食の好みも淡泊だったけど甘い物には目が無かったのよね。


(あああああ、スイーツの誘惑には勝てない!)


 ミーガンが好意で注文したスイーツはかなりの量で、しかもどれも美味しそうな物ばかりだった。


 この世界の食のレベルは高い! それは男爵家での食事でも実感していた。素材の良さを生かす味付けは日本人の感覚と近いものがあった。


「遠慮せず食べてね。それで・・ローズはどうしてそんなに痩せられたの?」


 また元の体重に戻ってしまいそうな誘惑をこんなに並べて置いて、そんな事を聞くんですか叔母さま!?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ