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凪の中の突風  作者: NBCG
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80話 中央同盟国

明海十一年 12月8日 藩泥流帝国 首都ベアリーン


中央同盟国。


それは主に、バンデル帝国、ロマーナ王国、オーリア帝国の三国同盟と、メフメト帝国とブルガーラ王国の二か国を加えた五か国の主要国を指し、またその保護国や植民地を含めて言うこともある。


メフメトとブルガーラは、複数国による同盟ではなく、メフメトはバンデルとオーリア間での二国同盟、ブルガーラはオーリア、ロマーナとの二国同盟が存在したが故、その位置が雄州において、メラシアを東とした場合、その中心にあることから中央同盟国と呼ばれるようになった。


さて、この中央同盟国、元はメフメト債務管理局という組織が根幹に存在する。


これは、大国メフメトがその歴史の中で数多く抱えてしまった対外債務の返済を促す機関である。


バンデルとオーリアは、自国の投下資本と一緒にメフメト帝国の政体を維持しようとしているため、メフメトの肩を持ち、これから生み出された経済戦争に打ち勝つための同盟、三国同盟を結んだのである。


閑話休題。


「宰相、朗報です。以前からの研究と、メラシアが手放した情報を基に、我が国で独自の航空機の開発が完成したとのことです!」


「そうか……」


「宰相?」


「いや、それ自体は喜ばしいのだがな……」


「何か問題が?」


「メラシアが負けた所為で、我が国に入ってくるはずであった外貨が極東メラシアから締め出され、はっきり言って、赤字なのだよ。少なくとも、額面上は」


「それは……」


「言わんとしていることは分かる。だが、いくら飛行機が作れる技術があっても、作る資金が無ければ元も子もない。悲しいことにな」


「心中、お察しいたします」


「ああ、でな、あの情報を一部国家に明け渡そうかと思っていてな」


「メラシアが明け渡した、航空機のですか?」


「まあな」


「宰相それは!」


「分かっている。いくらなんでもタダでやるとも言っていないし、やってやる国は選ぶさ」


「と、いいますと?」


「同盟国がまず先だな。とは言え、メフメトは債権で渡せないが……。ロマーナとオーリアが妥当な所だろう。彼の二か国なら支払えるだろうしな」


「その話は、もう既に?」


「いや、まだだ」


「では、話を付けておきましょうか?」


「ああ、頼むぞ」


「分かりました。私はこれで。失礼いたします」


扉の音が、空気がどれだけ乾いているかを示すような感覚を結付けた。


「はぁ……浜綴め……」


執務室に、ぽつりと憎悪の声が響いた。


同月 10日 芦麻菜王国 国王室


「国王、バンデルからです」


国王室に入って来たお付きが、入って来るなり案件を言ってきた。


「何と書いておる?」


「えぇと……要約いたしますと、バンデルは、メラシアから手に入れた航空機の情報の一部を、我が国とオーリアに売る用意があるとのことです」


「飛行機か……」


「どうなさいますか?」


「買おう!」


「……お言葉ですが、もう少し考えてみては如何でしょうか?我が国は、次世代の新技術に多額の投資が出来るほどの予算は無かったと思っていましたが……」


「確かに言いたいことは分かる。だが、ここで今、買っておかないと、世界から更に離されるかもしれない。只でさえ我が国は、最盛期と比べ、その国力や他国に対する優位性を失ってしまった。しかしここで無理をしなければ、恐らく永遠に、一、中小国として、大国に揺られながら過ごしていくことになる。せめて私は、また我が国が大国に返り咲けるようにと、その可能性を子供たちに残しておきたいのだ」


「……それを鑑みても、予算は……」


「国庫に無い、と言うのであれば、私の懐からだそう。あまり多くは無いが、これで未来へ希望を託せるというのであれば、安い買い物だと思えるだろう」


「しかしそこまでしなくても……!王の財産は、後継者にも引き継がれるのですよ!?」


「それも分かっている。だが、よく考えてみて欲しい。完全に新しい技術が、金で買えるのは、非常に我が国にとって好都合なことだ。ああいった技術は、開発に多大な時間と労力、そして開発費がかかるだろう。それを金だけで解決できるというのであるから、私は安いと考えたのだ」


「はぁ……そこまでいうなら私は何も……。では議会にて、またこのことについて調べようと思います。但し、南北問題や未回収のロマーナ問題についても、引き続きお考えいただきたいですが」


「……ありがとう」


その言葉を聞き、お付きは軽い会釈をし、部屋から出て行った。


「戦争が……大きく変わるな」


国王は浜煤戦争に派遣されていた観戦武官からの報告書を手に取り、次、自国へ降りかかって来るやも知れない戦火を憂うのであった。


明海十二年 1月30日 煤羅射帝国 在メラシア浜綴大使館


「ではこれで、浜煤協約締結ということで」


「はい、了解いたしました」


時の煤羅射の外相と在メラシア浜綴大使が握手をし、この協約が締結された。


この協約は、煤羅射の北唐国の権益、浜綴の、現在雄州の大国が既に権益を得ている領域外における権益を相互に認めると言うものである。


簡単に言うと、戦後、浜煤間での権益の衝突を回避させるため、この協約が締結されたのである。


この後も複数回に渡って協約が結ばれることとなるが、後に第一次浜煤協約と呼ばれるこの協約は、平和へ進む第一歩として、両国間で大きく取り上げられるのであった。


浜綴では事実上勝利したとはいえ、今なお大国である煤羅射と融和が図れたこと。


煤羅射に於いては革命テロとそれらから来る騒乱含み、国内の安定を図りたい政府の懸念材料が一つ減ったこと。


この協約は二国にとってどちらも利のあるものとなったのである。


また、この事実は中央同盟国にとってとある懸念材料となってしまった。


彼らの主たる仮想敵であるフランシス王国とセイアン帝国、さらにその間で結ばれている飛行機同盟、それに加盟している浜綴と煤羅射が協約を結んでしまったことにより、一応は中立関係であった中央同盟国群と煤羅射が微かに対立してしまうという構造になってしまったのである。


浜綴に事実上負け、列強から外されてしまったが、未だ大国である煤羅射と対立関係になってしまうことは、彼らにとって非常に好ましくない状況に陥ってしまうのと同義語であったのだ。

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