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凪の中の突風  作者: NBCG
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36話 民間空港開港

明海六年 1月1日 首都万京 万京国際空港


この日から、浜綴初であり、そして世界初の民間空港が開港された。


それも二つも。


一つは首都万京の万京湾にある、万京国際空港。


もう一つは、近畿で最も栄える逢坂の逢坂湾にある、上方国際空港である。


将来、より大きな飛行機も運用できるようにと、滑走路は2キロメートルをとり、幅は15メートル、そしてそれが二本である。


空港施設も、一応無線施設とそれ用の発電所が併設されている管制施設、所謂管制塔が存在している。


姉妹港であるため、設備はほぼ共有である。


とはいえ、民間航空会社が現在、存在しない為、政府が主導で民間輸送を行う。


また人員輸送も行っている。


民間輸送の内容は、手紙など郵便が8割、荷物が2割と言った割合になっている。


値段も高額となっており、まず郵便は「航空速達」として、平均月給1ヶ月分で葉書き、または指定されている中で最も軽い茶封筒一枚分送ることができる。


それ以上の重い郵便はさらにそれを上回る価格となっている。


荷物も、最も軽いと指定されている、280g未満でも、平均月給3か月分と言われている。


そして人員輸送は、平均年収三年分で指定された重さより軽い人間が、万京―逢坂間の空の旅を片道で行うことが出来るようになっている。


はっきり言って、金持ち向けの商売である。


しかし、冒険趣味のある金持ちが、こういったことを進んで行ってくれると、航空業界の進化開拓に繋がるので、是非やってみてもらいたいものだ。


もっとも、自分は仕事で飛行機に乗る為、あまり関係のない物だが。


今回、民間航空機が民間の空港から初めて飛び立つため、自分はその飛行機が飛んだ後、問題が無いか見守る役を仰せつかっている。


因みに今回飛ぶ飛行機は、丸菱製の民間輸送機、天馬一型である。


民間機ということで、この機体を飛ばすのは“まだ”正式な軍人ではない航空学生(とはいえ軍用輸送機程度なら問題無く操作できる)が担当する。一応副機長には軍用輸送機であり、もとの晴空に乗っていた軍人が宛がわれ、補佐することにはなっているが。


それも今、無事に飛び立ったようである。


飛行場の周りは、そのことを喜んで沸き立つ。


「発進する」


そして自分もその機を追う様に飛び立った。


別にここから上方国際空港に行くわけではなく、また万京国際空港に戻ることになる。


恐らく、上方国際空港でも同じような式典が行われているのだろう。


初めて民間空港から飛んだ民製機を、最も間近で見られる自分は、恐らくこの国で結構運がついている方なのかもしれない。


民間空港から民間機の離陸ということで、護衛?の操縦士も民草出身が良かったのかもしれない。


政府かどうかと貴族がどうかでの「民間」は違うような気もするが……。


まあいいか。


ただの士官が政府に野暮な口出しなど無粋極まる。


「やはり殆ど晴空にしか見えないな……」


そのような無粋な考えなど、別の無粋な考えを独り言にすることで、解消することにした。


その日の夕方、どこかの居酒屋。


「よう相坂、中々に良かったぜ」


「お前はいつも元気だな、倉田。それに、主役は自分じゃない」


「ま、冷や冷やしながら良く飛んだと思ったぜ」


「あれ、整備が不十分だったのか?」


「まあな。最終確認を丸菱の整備士と一緒にしたら、担当の整備士が翼の螺子の一本確認が抜けててな。それ直してなかったら空中分解は避けられなかったな」


「おいおい……」


「ま、式典が無事に終わったんだ、今は喜ぼうぜ」


「そういえば、新型の戦闘機の話って、どうなったんだっけ?」


「話を変えたと思ったらまた頭の痛い話を……」


「なんかあったっけ?」


「前言ったんだけど、覚えてないか?」


「んー……。あー……、確か、通信機が完成しないと作れないとかなんとか」


「そう、その話」


「まだできてなかったのか?」


「それはもう完成なんだがな。最終調整とまでは行かないけど、大まかな調整をしている所だよ」


「順調そうだが……」


「前に、その間に、技術力を高めるために、色々飛行機を作ってるって話、しただろ?」


「あ、ああ」


「遂に最後の二つになって、一つの水上機っていう、飛行機の足の代わりに浮きを付けて水面から飛ばす飛行機はほぼ完成して、今度は飛行艇っていう、胴体を船体のように浮かべるようにした飛行機を開発していたところで、そろそろ通信機が完成するかもって話だ」


「どこが悪いんだ?」


「今飛行艇は中核技術の開発中で、それもあまり順調じゃなくてな」


「水上機はあっさり完成しそうなのにか?」


「水上機はあっさり完成しそうなのに、だ」


「なんかすまないな……」


「水上機と飛行艇は基礎技術が違うのさ。別にいいけどさぁ……。まあそれは置いといて、只でさえ人不足な開発部だ。一つの最終調整機、一つの開発難航機、更に新型で開発が急がれる機。そんなの作るったって、忙しくて無理無理蝸牛って話だ」


「丸菱の方はどうなってんだ?」


「あそこは勝手に飛行機を作っているだけで、まあ量産となれば設計図渡して、してはくれるだろうが、技廠の開発には殆ど関わっては無いからな」


「そうか……」


「ま、もう少し遅れるかもしれんが、機体自体にはあまり失望させない機体になるはずだ」


「期待はしている」


「そりゃどうも」


その後少し酒を嗜んだ後、それぞれの家路に着いたのであった。

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