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序章:ペンタの冒険者時代88


序章ー115  転移ポータル



魔神の迷宮にて、何度もお世話になっている転移ポータル。ダンジョンの各地点や入口などに転移できる代物である。

転移ポータルに使用されている、祭壇と同じものをドワーフの親方たちに作ってもらった。

それをアイテムボックスに放りこんで、都市・タルカンに帰還する。

帰り道に、デネヴァにどう使うかを聞いたところ、


「新しい転移ポータルを作ってみようと思ったわけよ。多分、理論は問題ないから」


と、そんなことを言ったのである。タルカンから、魔神の迷宮のある都市・ロバルティアまで王都ロームリスを経由しての長旅になる。

転移ポータルが出来るのなら、移動にかかる手間や時間が短縮されるため、大助かりである。

とはいえ、既に稼働しているダンジョンの転移ポータルはさておき、これから設置することになるデネヴァ作の転移ポータルで、きちんと転移ができるか、ははなはだ不安なところもあったが。


タルカンに戻った俺たちは、ギルフォード子爵邸に立ち寄ることにした。

転移ポータルを設置する場所として、セレスティアの実家である、この屋敷の中が選ばれたのである。


「転移ポータル自体の仕組みは単純だけど、魔法陣を生成するのには集中力と時間がかかるから、誰も入ってこないでよね」


子爵邸の一室。奥まって人も着づらい一室を使わせてもらうことになったデネヴァは、そういうと扉を閉めて中で作業を始めた。


「いやはや、私の家に、そのような便利なものができるとは、楽しみですなぁ!」


子爵邸の主である、ギルフォード子爵こと騎士団長のおっさんは、豪胆に笑いながらデネヴァが作転移ポータルを設置することを快諾した。

それから数日間、デネヴァは入浴やトイレ以外は部屋にこもり、彼女の世話はケットシー達が行っていた。

誰も入ってこないで、とは言っていたが、ケットシー達は例外のようだ。


俺はというと、ラザウェル公爵からの呼び出しがあり、公爵に転移ポータルがどんなものかを説明したり、ついでという風に、マリー嬢とのお茶の時間を過ごしたり、騎士団長とともに訓練にいそしんだり、リディやセレスティア、ジャネット達とスポーツで汗を流したり、ウルディアーナとベルディアーナのエルフ姉妹と一緒に日光浴をしたり……とのんびりとした時間を過ごしていた。


そうして、数日後。



「とうとう完成したわ!!」


目の下にくまをつけた、デネヴァが興奮した様子で俺のもとにやってきた。ちょうど、朝日の差し込む時間であり、寝起きの俺に覆いかぶさるように、


「あー、もう燃え尽きたぁ……」


と、糸の切れた人形のように、俺に覆いかぶさるように気絶してしまった。ぐったりした様子に、少し慌てることとなったが、様子を見ると穏やかな寝息が聞こえてくる。後で聞いたところ、徹夜で何日も作業しており、転移ポータルが完成したことで、抑えていた眠気が一気に来たとか。

おつかれさま、と、俺に覆いかぶさって寝入ったデネヴァの頭を撫でていると……


「おい、ペンタ。朝だぞ! 早く起きて………って」


俺を起こしに来た、セレスティアがベッドの上で重なるように横になっている俺たちを見て、ひと悶着があったが、それ以外はいつも通り、穏やかな朝であった。




「さて、そういうわけで、この部屋に転移ポータルを設置できたわ!」


それから。朝食をとってから、みんなで子爵邸の一室にある、転移ポータルを見に集合することになった。


床に描かれた魔法陣と、その中央に鎮座する祭壇。それと、部屋の一部に小高く小石が積まれていた。


「ふむ、これが話に聞いていた転移ができる代物なのか」

「本当に、これが使えるのか?」

「どうやって使うんでしょう?」


と、興味深げにする騎士団長のおっさん。少々懐疑的な様子なのはセレスティア。使い方に興味津々なのはリディである。


「転移の方法は簡単。この祭壇に転移したい場所のアイテムを乗せて、魔力をこめることで転移できるわ。逆に、ここに転移したいときは、そこの小石を別の場所の転移ポートにある祭壇にのせて、魔力をこめれば転移できるってしくみよ」


部屋の中に小石があるのは、転移ポータルの周辺にある物質なら、何でも転移のキーとなるが、転移する際に消滅するため、消費しても問題ない、小石を多く用意したらしい。


「本当に使えるかは、これから試してみるわ。魔神の迷宮の入口に転移して、戻ってくるつもりよ。まあ、初めてだし、実際に転移できるかはやってみないとね」

「よし、それじゃあ行こうか」

「あら、ペンタも一緒に来るの? 自信はあるけど、確証はないから、下手したら転移した先が、いしのなかにいる みたいなことになるかもしれないわよ」

「脅かすなよ。危ないかもしれないなら、なおさら一人で行かせるわけはないだろう?」


あらそう。と、肩をすくめるデネヴァ。


「まあ、そういうことね。私も一緒に行くわよ」

「お供します」


と、ウルディアーナとジャネットも、魔法陣の内側に入り、騎士団長のおっさんこと、ギルフォード子爵、セレスティア、リディと見守る中で


「それじゃあいくわよ!」


デネヴァが祭壇に魔神の迷宮の入口で採取した素材を置き、魔力をこめると、俺たちは転移し----見慣れた、迷宮の入口付近に移動していた。

周辺に人気がないのを確認し、タルカンの転移ポータルに再度の転移ーーーーこれも成功し、転移ポータルでの長距離移動が可能になったのであった。


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