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序章:ペンタの冒険者時代87


序章ー114  帰還 と 新たな装備



そんなこんなで、それなりに充実した、ヒムカの里への行幸も終わり、俺たちはマリー嬢を護衛しつつ、都市、タルカンに戻る。

一度、ラザウェル公爵閣下に挨拶を済ませた後で、俺たちは再びドワーフの集落へと訪れた。


「こんにちは、親方。頼んだものを受け取りに来たよ」

「おう。来たか。小僧もつれ(・・)の嬢ちゃんたちも、まあ座れ」


ドワーフの鍛冶屋のギムレットの親方は、俺たちを奥に通して自分も席に座る。

助手のドワーフたちが出来上がった武具をテーブルに並べていき、それを親方が説明する形だ。


「まずは、そこの騎士の嬢ちゃんの装備だ。火竜の素材を使った全身鎧で、これまでの物よりも、対物理、対熱、対魔力と全般的な防御力が格段に高いものだ。今まで、この工房で作られていた防具よりも格段に出来の良いものになったぞ」

「なるほど、とりあえず、あとは着心地かな」

「さっそく、着替えてきてよろしいでしょうか」


普段は、どちらかと言えば冷静なジャネットが、わくわくと目を輝かせている。そんな彼女にふっ、と親方は笑うと、あごをしゃくって、店の奥をしめした。


「そっちに着替えるためのカーテンの敷居がある。そこで着替えてみればいい」

「「「着替えは、お手伝いしますニャ!」」」


ジャネットの全身鎧一式は、一人で着るには大変なものであるので、ケットシー達が手伝いを申し出た。

そうして、カーテンの奥に消えたジャネットだが、ほどなくしてそこから完全装備で出てくる。


「どうだ、着こなしは」

「ええ、ぴったりとして動きやすいです。ペンタ殿、いかがでしょうか」


全身鎧のままで、いろんなポーズをとりつつ、ジャネットが俺に聞いてくる。

火竜の素材を組み込んだことで、全身鎧は赤色がベースとなっており、なんというか、


「うん、一目見ても強そうだ。あと、3倍の速度とかでそう」

「さ、3倍ですか!?」

「いや、そんな機能はついてねえよ」


俺の言葉に、ギムレットの親方から、そんな風に突っ込みが入った。まあ、赤くて3倍は前世のお約束なだけで、さすがにこちらには適用されなかったらしい。


「まあ、言ってみただけだから。それで、他にできた武具はどんなのがあるんだ?」

「おう、まずは火竜の素材にお前さんの持ち込んだ、なんだかよくわからない硬くて黒いあの素材な」


硬くて黒いあの素材というのは、エルフの里を襲った、死体人形が頭部に着けていた、黒色の物質である。


「それを合わせて、一振りの大剣にしてみた。魔力をこめれば、熱を宿すようになった長剣で、俺は”フレイムタイラント”と名付けてみた」


そうして、ドワーフの親方が示したのは、一振りの大剣。黒をベースとした両手持ちの剣で、どことなく迫力のある雰囲気の大剣だ。


「あと、ついでに、二対の剣と、黒の短槍も例の黒い素材から作ってみたぞ。いや、ひたすら硬くて、加工が大変でなぁ………」


そんな風に、鍛冶の苦労を語る親方の言葉を右から左に危機ながし、俺は2対の剣を手に取ってみる。

黒い物質から作られたその剣は、片手ずつに持って使うため、通常の剣より短く、短剣よりは長い。いわゆる小太刀と呼ばれるサイズの剣である。


「なるほど、これはいい剣だな。どんな名前にするか考えないと……」

「おいこら、人の話を聞き流すんじゃねえ!」


と、新しい武器を手に持ってご満悦な俺であったが、ドワーフの親方に頭をたたかれてしまったのであった。



「………じゃあ、炎の大剣(フレイムタイラント)と、こっちの双剣は俺が持って、ジャネットが短槍を持つことでいいかな?」

「ええ、それでよろしいかと」


そんな感じで、俺とジャネットが新しい武器を手に取ることに決まった。俺はアイテムボックスで武器の出し入れも行えるから、相手の距離とリーチによって武器を使い分ければよいんじゃないかと思ったのである。

もともとある虎鉄1本だと、どうしても損耗が激しくなるし、複数の武器を所持していれば、いざというときの対応の幅も広がるだろう。


「さて、これで全部だったっけ」

「ああそうだ………っと、そういえば、嬢ちゃんからの頼みごとがあったな」


武具の確認を終えた俺達であったが、親方が、デネヴァの方に目を向け、思い出したように頭をかく。

そうして、親方が一度奥に消えると、一つの箱を抱えて戻ってきた。


「ほらよ。頼まれたとおりの出来栄えだと思うぜ」




そこには、転移ポータルに使われていた、祭壇が3つ、箱に入っていたのであった。



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