序章:ペンタの冒険者時代6
序章-18 ペンタ12歳、ダンジョンに潜る
冒険者になって2年目、冒険者として活動し、それなりの成果を上げることができるようになっていた。
青息吐息で生活しているものが多い、いわゆるアウトローのような立場の冒険者の中では、随分と恵まれている環境であると思う。
デネヴァやケットシーたちとともに採集に出かけ、途中で遭遇した獣や魔物相手に剣をふるう。ある時には、羽振りが良いのをかぎ取った、盗賊の集団に襲われたこともあったが、こちらは無事であった。
まあ、相手はこちらに危害を加える気満々だったし、過剰防衛だったかもしれないが、盗賊行為をしている相手には、情け無用だとのデネヴァの言である。
そんなわけで、対人戦の経験も積み、いろんな意味で一皮むけたような気がする昨今。これまでは、危険ということで認められなかった、ダンジョン探索を許されることとなった。
ダンジョンは、大まかに2種類あり、一つは自然の洞窟や、巨大な廃墟、はたまた〇〇の森林など、一部の地域などが変質したもの。
もう一つは魔神の魔力が生み出した、純粋な異空間の迷宮である。
どちらも、多くのお宝や魔物が発生しており、その分、いろいろと危険がいっぱいな場所である。
物語の主人公たちも、多くのダンジョンを渡って修行をし、最後の魔神の迷宮の奥深くにいる、魔神を討伐するのが、物語の中で書かれていた。
そんなわけで、ダンジョンを体感してみたいというのは、学園に教師としていきたい、という願いほどではなかったものの、俺の願望の一つではあったりする。
「観光じゃないんだから、浮ついた気持じゃ駄目よ。それに、とっさに自分のことを守れるくらいにならないと、ダンジョンには連れていけないわ」
時々、ギルドから頼まれるダンジョン探索の依頼の時は、俺は留守番に回されて、悔しい思いをしていたものである。
そんなわけで、今回は初めて、ダンジョンに潜ることになった。
初体験のダンジョンは、コボルトの巣穴と呼ばれるもので、その名の通り、多くのコボルトが生息している場所である。
コボルトに取られた思い出の品を取り返してくれ、という、物語にありそうな依頼を受けて、俺たちはダンジョンに入っていった。
ダンジョン内部は、巣穴という名前の通り、整備されてはいないようで、天然の洞窟内を、たいまつをつけて進んでいく。
ただ、ケットシーたちの何匹かは、そんな闇をもろともせず、先行して様子を見に行っていた。ケットシーたちは猫である。夜目が効くうえに、自然と忍び足で歩く習性があるのか、ダンジョンの偵察にはもってこいであった。
「暗闇の中で、弓矢持ちのコボルトが何匹か居たから倒しておいたニャ」
「侵入したのがバレたようで、コボルトたちが、たいまつを掲げてこちらに向かってきているニャ」
「一度、たいまつを消して、こちらから不意打ちするのが良いと思うのニャ」
と、ケットシーたち大活躍である。これ、俺が成長するまで待つ必要があったのか? と疑問に思ったが、デネヴァ曰く今は順調に進んでいるが、いついかなる時に不測の事態が起こるのかわからないのがダンジョンであり、最低限の実力をつけてから来るべきである。とのこと。
幸いにも、今回は予想外な事態にも、ピンチな場面にも遭遇することなく、探索を終えることができた。
これを機に、俺もダンジョンに時々潜っては、依頼をこなすようになった。
なお、ダンジョン攻略を繰り返す中で、【夜目】【忍びあし】のスキルが身についたのは余談である。
序章-19 教師になるためには知識が必要である
冒険者として、駆け出しから、新米くらいになり、実家への仕送り額も多くなり、順風満帆な日々を送っていたある日、俺は都市・タルカンにある、いくつかの図書館のうちの一つに足を踏み入れた。
教師となるからには、生徒の質問には答えられるくらいの、知識の豊富さも必要になると思ったからである。
そのため、市のいくつかある図書館のうち、入場するのにそれなりに値段のかかる、高級図書館と呼ばれる場所を勉強の場所に選んだ。
それなりの身なりと、ルールの徹底をチェックされるが、その分、利用者たちのマナーも良いし、他にはない多くの文献も貯蔵されている。さらに、本の持ち込みは禁止されているが、食事処も併設されており、一日中、図書館の中に入り浸って読書をするのにはもってこいの環境であった。
「魔神の封印されたいきさつは、物語通りに書かれているな……」
多くの歴史的文献や、政治学、兵法書に、魔道の教科書など、多くの文献を読み漁りつつ、知識を蓄える俺であったが、貯蔵されている本はまだまだ多く、図書館で勉強するたびに、新しい知識を得ることができたのだった。
「せっかくだから、この世界の言語とかも勉強するのもいいな。エルフとかドワーフとかと会話をしてみたい!」
そうして、いろいろと読みふけるうちに、【速読】のスキルがいつの間にか加わっており、実際に速く読もうとしたら、普段の3倍のスピードで読むことができるようになっていたのである。
速読ができることでテンションが上がり、さらに色々な書物を読んでいたら、つぎつぎと学術系のスキルを身に着けていった。
【数学者】【歴史学者】【政治学者】【兵法家】【魔導理論家】【ドワーフ言語取得】【エルフ言語取得】
こういったスキルを、冒険者生活と図書館がよいでの2足のわらじで習得していき……
そうして、時は経過し……俺はさらに成長して14歳になっていた。




