表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/92

序章:ペンタの冒険者時代42

序章-71 4人の少女たちの日常(リディア視点)


それからは、子爵家にベルちゃんとマリーさんが来て、一緒に鍛錬やマナーの講習を受けたり、着飾って公爵邸にお邪魔して、お茶の時間を過ごしたりと、ボクたちは4人で行動することが多くなりました。

とはいえ、全てが一緒というわけでもなく、鍛錬では、ボクとセレスちゃんはランニングや柔軟体操のほかには、武器を持って打ち合ったり、ベルちゃんは、ランニングや柔軟体操のあとは、自作の弓で、的をめがけて矢を撃っています。

マリーさんは、ランニングや柔軟には付き合うけど、もっぱら鍛えているのは魔法の方で、防御や回復の魔法などを主体に鍛錬を続けています。


戦い方の役割は、子爵様が言うには、適材適所で、ボクとセレスちゃんが前で戦い、後衛にベルちゃんとマリーさんというフォーメーションが良いとか。

そんなわけで、それぞれの特技を生かすために、日々、訓練を続けています。


そのうち、子爵様率いる護衛が見守る中で、モンスターと戦い、戦闘に慣れることもする予定です。

いずれは、魔物と戦わなきゃいけないんだけど、気後れしないように戦えるか、ちょっとだけ不安だったりします。




そんな訓練の日々の合間、気晴らしもかねて、時々は街に遊びに出ることもありました。

もっとも、マリーさんやセレスちゃんの身分もあって、護衛付きのお出かけとなったわけですが。


市場をあちこち見て、買い食いをしたり、アクセサリーや洋服を見て回ったりと、4人(+たくさんの護衛)でワイワイと楽しく過ごしました。

その後、歩き回って、一休みということで、ボクたちは最寄りのカフェに立ち寄ると、お茶を片手に皆で談笑することになりました。


「ええ!? じゃあみんな、ペンタ先生からプレゼントをもらったことがあるの!?」

「うむ、まぁな……」


そこで話題になったのは、ペンタ先生がいたころのこと。なんと、セレスちゃんたちみんなと、ペンタ先生で街に遊びに来たことがあるとか。

さらに、ペンタ先生からは、みんなにそれぞれ、プレゼントがあったとか。


「いいなー。うやらましい……」

「でしたら、今度会うときに、ペン様に街に連れてってもらうように、頼んでみたらよいのではないですか? 私も、口添えいたしますわ」


ボクがしょげていたら、マリーさんからそんな提案が。

ボクたちの今後の予定は、折を見て王都に行き、王都を経由して、都市・ロバルティアに居を移していき、ロバルティアの王立学園に通うというもの。

ペンタ先生は、都市・ロバルティアにて活動するので、そこで会うことが出来るとのことです。


まあ、実際に都市・ロバルティアにいくのは、1年ほど先になるらしいけど、その時が楽しみになりました。


「よろしいのですか、マリー様」

「ええ。リディアさんだけ、プレゼントをもらっていないのも可哀そうですし、それに……」

「それに?」

「リディアさんをだしに……もとい、きっかけに、私たちもペン様とお出かけできるではないですか」


にっこりと、マリーさんがそんなことを言ってるのが聞こえるけど、気にしない気にしない……WinWinな話だからね!




とまあ、おおらかでちょっと腹黒い? 公爵令嬢のマリーさんですが、そんな彼女が怒った案件が……


「ベルディアーナさん? これは、どういうことなんでしょうかね?」

「わ、私は分かりませんよぉ! ウル姉さまとペンタ兄さまのことでしょうけど……」


ことの発端は、王都からのニュースで、なんでも、王都で二人の男爵家の男性が、一人のエルフの女性をかけて戦い、見事に勝ったほうが、エルフの女性のハートを射止めたとかなんとか。

で、その勝った男性の名前がカーペンタ・パウロニア……ペンタ先生だったりします。先生、なにしてるの!?


「これは、見過ごせない情報ですわ。今から王都に早馬を出して、向こうでの情報を集めないと……場合によっては、ロバルティア行きを早めなければいけませんね……」


などと、ぶつぶつと、微笑みを浮かべながら、目が笑っていないマリーさん。

あからさまに、不機嫌なオーラがでていて、ボクは微妙に距離をとることに。不幸だったのは、ベルちゃん。なんでも、件のエルフは、ペンタ先生と一緒に旅に出たベルちゃんのお姉さんらしく、事の次第がはっきりするまで、マリーさんから逃げることもできず、フルフルと震えていました。



それから、しばらくして……



改めて、王都からの詳しい情報が来たのは1週間ほど後のことでした。なんでも、決闘騒ぎは、ベルちゃんのお姉さんを見初めた、貴族の男性ともめたことで、解決のためにペンタ先生が戦ったわけで、それによって、ペンタ先生と、ベルちゃんのお姉さんが恋仲になったとか、そういうことはないそうです。

その情報を聞いて、不機嫌オーラがあふれていたマリーさんの機嫌も改善。


「そういうことでしたか。ベルディアーナさん、怖がらせてしまって、ごめんなさいね」

「ひゃっ、い、いいええぇ……」


いつもの、微笑み顔に戻ったマリーさんに、ベルちゃんはブンブンと首をふるって返事をしたのでありました。



それからも、ボクたちは訓練したり、お茶したり、お出かけしたり、モンスターとバトルしたりと、充実した毎日を送るのでした。

ボクたちの日常は、王立学園に通うため、都市・ロバルティアに向けて出立するその日まで、当面の間、繰り返されることになったのです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ