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序章:ペンタの冒険者時代40

序章-69 リディアとセレスティア、孤児院に行く (リディア視点)


そんなこんなで、ボクはセレスちゃんと一緒に、数年前までお世話になっていた、孤児院に行くことになりました。

数年ぶりに歩く、タルカンの街並みは、見知ったところもあれば、変化しているところもあり、間違い探しをしているような気分です。

途中の露店で、差し入れ用の果物を買ったり、新しい建物をセレスちゃんに聞いたりしつつ、孤児院に向かいます。


ボクの暮らしていた孤児院に到着したんですが、記憶にあった場所には、覚えていた建物だけど、なんだかきれいに修繕された家が建っていました。

……記憶の中では、もっとボロ……いや、小奇麗ではなかった気もするんだけど。


久しぶりに来た孤児院では、同じ孤児院仲間でボクと同い年のミネルバと、シスターのローザ、そして、孤児院に住んでいる子供たちが出迎えてくれました。


「さあ、みんなでお客様に、ご挨拶しましょうね」

「「「りでぃあさま、せれすてぃあさま、いらっしゃいませ!!」」」

「はい、よくできました」


ミネルバの号令で、子供たちがきちんと挨拶をして頭を下げる。そうして、わっ、とボクとセレスちゃんのもとに駆け寄ってきました。


「リディおねーちゃん、ひさしぶり!」

「リディちゃん、きれーになってるー!」

「あはは、みんな元気にしてた?」


数年前に孤児院にいたボク。同年代の子たちは孤児院から出ていったけど、当時は小さかった子たちがボクのことを覚えていたのか、親しげに言葉をかけてきてくれます。


「このひとだれー?」

「おとこ? おんなー?」

「なんだか、こわそだねー」

「なんだと!?」


セレスちゃんのところにも、おもに男の子たちが何人か寄って行ったけど、セレスちゃんが声を上げると、わーっ、と蜘蛛の子を散らすように逃げ出しちゃいました。

だけど、セレスちゃんに興味津々なのか、またちょこちょこと近寄って行ったりするのが可愛いです。


その他にも、ボクが孤児院を出て行った後に入れ替わりで入ったのか、小さな子たちはちょっと警戒しているのか、遠巻きにこっちを見てきています。


「リディちゃん、あそんでー!」

「うん、それじゃあ一緒に遊ぼうか! 君たちもこっちにおいでよ!」


遠巻きに見ていた子たちにも声をかけて、おままごとやお人形、紙芝居などをして遊ぶことになりました。

セレスちゃんはと言えば、男の子たちと一緒に、行進ごっこや、かけっこなどで一緒に遊んでいて、本人も楽しそうに遊んでいるようです。それからしばらくの間、孤児院の子たちと遊んですごしたのでありました。



ひとしきり遊んだ後……子供たちはお昼寝の時間ということで一休みとなり、ボクとセレスちゃんは、シスターローザと、ミネルバとともにお茶の時間を過ごすことになりました。


「へぇー、それじゃあ、ミネルバは本格的に、ここの孤児院に就職することにしたんだ」

「ええ。子供たちと一緒にすごすのは楽しいし、やりがいもあると思ったから」


ミネルバは。現在シスターローザの手伝いで、孤児院の運営にかかわっていて、成人したら孤児院を正式に受け継ぐことになっているようです。

色々と大変だけど、各所から援助もあり、孤児院は今後もやっていけそうだとか。


孤児院が見た目や孤児たちの服装とかも改善したのは、ペンタ先生が色々と援助をしてくれたそうです。


「あの方がいうには、”衣食足りて礼節を知る”とのことです。礼儀やマナーを覚えるには、生活にゆとりがないと難しく、だからこそ、まずはそちらを解決しようと、多くの支援を行ってくれたのですよ」


シスターローザがいうには、ペンタ先生は資金援助のほかにも、子供たちが飢えないように食材を差し入れてきたり、滑り台やブランコなどの遊具を自作したりと、色々と精力的に活動していたとのことです。

よくよく考えれば、ボクが孤児院で生活していた時も、ご飯はおなか一杯食べれたし、遊ぶ道具もたくさんありましたね。

ある日とつぜん、新しいおもちゃが増えていたりしたこともあったけど、それはペンタ先生が用意してくれたのを、当時のボクは知らずに喜んでいたなぁ……


「……随分と、精力的に活動をしていたんですね」

「あの方は、自分がやりたいからやっているだけだ、といっていました。その善意のおかげで、今の孤児院があるのですわ」


感心したようなセレスちゃんの言葉に、シスターローザは微笑んだ。

それからしばし、ペンタ先生についての逸話やら、面白い話を、シスターローザやミネルバから聞くことになりました。

ボクの知っている話もあれば、ボクの知らないペンタ先生のお話もあり、とても有意義な時間であったと思います。



「それじゃあ、またねー、リディおねーちゃん!」

「セレスねえちゃんも、またきてねー!」


しばらくの間、話し込んだ後、ボクたちは孤児院をお暇することにした。孤児院のみんなに見送られ、ボクたちは道を歩きます。

セレスちゃんは、あっという間に男の子たちの人気者になったのか、帰る際は、帰っちゃヤダと、駄々をこねる子もいたりしましたね。



「今日は来てよかったね、セレスちゃん!」

「ああ、そうだな。思った以上に、いろいろ知ることが出来て良かった」


夕暮れ時の街を、セレスちゃんとともに歩く。いつもツンケンして、気難しい顔をすることも多いセレスちゃんだったけど、孤児院の訪問は楽しかったのか、満足そうに歩いていたのでした。

それから、日が暮れる前に屋敷に戻るため、途中から早足になったものの、無事に子爵家に戻り、夕食の席での会話も弾むことになったのでありました。

……なお、その席では、子爵様から一つのことが通達されました。



数日後、いよいよ、公爵家の令嬢であるマリーさんと、公爵家に滞在しているエルフのベルディアーナさん。いずれは、ともに行動する二人との面合わせが決まったそうです。

二人のことは、セレスちゃんから色々と聞いてはいるものの、実際にあうのはこれが初めてです。仲良くなれればいいなぁ。と思いながら、ボクはその日を待つのでありました。


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