序章:ペンタの冒険者時代
序章-8:パーティ結成! メンバーは俺、デネヴァ 猫猫猫猫……
「ひとまず、落ち着いたところで話しましょう」
というデネヴァに従い、メインストリートから離れた道を歩く。
公爵領の都市・タルカンの中心部から外れ、人の少ない閑散とした
家屋の並ぶ地域に、彼女は家を借りて住んでいるらしい。
「住むには、このくらい静かなところの方がちょうどいいのよ」
と言いながら、先導した彼女に案内された先には、2階建て庭つきのこじんまりとした家屋があった。
見るからに年季の立った建物であり、ツタやコケなどで、外観が覆われていた。
「ボロいなぁ……」
「趣があるといいなさい」
と、そういって家の入口に引っ張られていくと、そこには、2本足で立ち、
器用に箒を使いながら、掃除をする猫の姿があった。
「……ケットシー?」
戸惑った俺の言葉に、そうよ、とデネヴァが応じる。ケットシーは、2足歩行の猫のような姿の存在で、人語を話したり、人間のお手伝いをしたりできる、使い魔として有名である。
見た目は、猫であり、目の前の灰色の猫も、2本足で立っていなければ、普通の猫にしか見えないほどであった。
「おかえりなさいませですニャ、ご主人様。おや、そこの少年は……」
「私の客よ。お茶をするから用意しなさい」
デネヴァの言葉に、灰色の2足歩行の猫は「わかりましたニャ!」といいつつ、器用に箒を立てかけると、家に入っていった。
「それじゃあ、私たちも中に入りましょうか」
玄関をくぐるデネヴァに促され、俺もそのあとに続いた。
「それじゃあ、改めて自己紹介するわね。あたしはデネヴァ。パーティ名『ねこの行進』のリーダーよ。
あたしのパーティは、私以外はここにいるケットシーたちだったけど、人間のメンバーはあなたが初めてね」
「デネヴァお嬢様が、人間の友達を連れてくるとは感激ですニャ! 私はクロといいますニャ」
「シロですニャ」「マダラですニャ」「グレーですニャ」「チャイロですニャ」「ミケですニャ」
「クロ2号ですニャ」「クロ3号ですニャ」「クロ4号ですニャ」「シロ2号ですニャ」「コゲチャですニャ」
リーダーの黒猫の姿をしたケットシーを皮切りに、総勢11名のケットシーからあいさつをされた。
話を聞くと、それぞれ違った特技を持ち、彼女を助けて、冒険をこなしてきたらしい。
ただ、あくまでケットシーたちは使い魔であり、ギルドランクなどは無いとのことだ。
「よろしく……それにしても、もうちょっと名前を考えたらどうなんだ? クロ2号とか3号とか」
「あら、呼びやすくていいじゃない。それに、一度は名前を変えようとしたのよ」
と、デネヴァが不服そうに言うと、ケットシーたちは全員が顔をそらした。
「さすがに、”ツルツルマキマキ”とか”オマエンニャパール”とかは、ちょっとニャ」
「ご主人様は、ケットシーに対する扱いはいいんにゃけど、ネーミングセンスがちょっとないのが問題だニャ」
「ちょっとというか、皆無だと思うのニャ」
「あなたたち、聞こえてるわよ。そんなに、食事がメザシ1匹生活をしたいのかしら?」
「「「それは勘弁してほしいんだニャー」」」
頬をひくつかせたデネヴァに、平身低頭平謝りをするケットシーたち。ある意味、仲がいいのだろう。
序章-9:なまえをつけよう
「まあ、そういうわけで、あたしはもう、名前を考えるつもりはないわ。なんなら、ペンタ、あなたがつけてみる?」
「俺が? うーん、そうだな……」
デネヴァにそんなことを言われ、俺はケットシーたちの1匹、クロ2号と呼ばれた猫を見る。
「そうだな、じゃあキミは……サスケ、とか?」
「ふにゃ!?」
と、俺が考えた名前を口にすると、クロ2号はしっぽを振って、目を輝かせた。
「サスケっ! 良い名前ですニャ! ありがたくいただきますニャ!!」
と、嬉しそうに小躍りしながら言う、サスケ。ふと他のケットシーに目を向けると、なんかキラキラした目で俺の方を見ていたりする。
「えっと、他のケットシーたちも、なまえをつけてほしいとか?」
「「「「お願いしますニャ!!」」」」
と、目を輝かせながら、俺のそばに寄ってきた。どうやら、断れそうもない。
ひとまず、メスかオスか、何か特技はないか、等を軽く聞き取りつつ、それぞれに命名をした。
クロ【オス】:リーダー 命名:ゲンノスケ
クロ2号【オス】:密偵能力あり 命名:サスケ
クロ3号【オス】:ファイター 命名:ジンパチ
クロ4号【メス】:料理上手 命名:タンポポ
シロ【メス】:ヒーリング能力持ち 命名:ユキ
シロ2号【メス】:投擲能力持ち 命名:コハル
マダラ【オス】:ケットシーには珍しい鉄壁持ち 命名:テツロウ
グレー【オス】:弓を使える 命名:ヨイチ
チャイロ【オス】:ファイター 命名:サイゾウ
ミケ【メス】:計算とか事務ができる 命名:カレン
コゲチャ【オス】:みんなのサポート 命名:ヨシオ
と、そんな感じで命名を終えた。なお、
「まあ、あたしは今まで通りの呼び方をするからね」
と、デネヴァ。新しい名前はすぐに馴染むわけでもないし、冒険時など、とっさの時に反応しやすいのは、
クロ2号とかの方かもと、思ったのであった。




