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序章:ペンタの冒険者時代8


序章-21 目指せ、魔法の武器(備えあれば患いなし感)


孤児院の教師と、ダンジョン探索の2足のわらじを続けているある日、ダンジョンでの探索を終えて、収集した戦利品を確認していたが、なかなかに目ぼしいものはない。

金目のもので、売れば資金になりそうなものはある程度あったが、貴重な武器や防具などのレア物的なあたりは、引くことができないでいた。


「うーん、出来れば魔法の付与された武器みたいなものが手に入ったらいいのに」

「そう簡単に、出るものじゃないわ。それって神器レベルのしろものよ」


この世界、ダンジョンと呼ばれるかそうでないかの線引きとして、宝箱のドロップの有無があげられる。

ダンジョン内には、時折、様々な物品が入っている宝箱が発生することがあり、その中には、玉石混合、ゴミのようなものもあれば、貴重なアイテムが入っていることもある。

モンスターがいても、宝箱が発生しない場所もあり、そういうところはダンジョンとは呼ばれず、実入りも薄いので、冒険者たちも敬遠しがちである。


閑話休題。


ダンジョン探索をすると、そういったお宝に遭遇する可能性があるわけで、冒険者たちが一攫千金を狙えるのも、こうした発生するお宝が一助となっている。

そんなお宝の中で、俺が狙うのは魔法の武器防具である。それが希少で高性能であるというのも理由であるが、魔法の武具を手にしたい理由は、もう一つある。


今後、物語の主人公たちは、魔神を討伐する前に、その部下である魔神四天王とも戦うことになる。

その余波というか、学園にも魔人の部下たちが攻め入ってくることがあり、それに対抗するために、強力な武器防具が必要であった。


魔神の配下たちは、ある一定以上の強さになると、魔力の防御膜を身体にまとうようになる。

この魔力膜、通常の武器では全く歯が立たず、魔法での攻撃にもかなりの防御となる。物語でも、学園の先生たちが手も足も出ないのを、神器を持った主人公たちが助ける場面があった。


つまり、魔法の武器がない=足手まといということになる。

主人公たちを見守るのが目的だが、足を引っ張るのは心苦しいし、やはり、強い武器を持つのはロマンなので、魔法のレア武器が欲しいと思う今日この頃であった。


「今日も空振りかぁぁ!」

「だから、そうそう出るものじゃないのよ? 完成された魔法の武器なんて国宝級だろうし」


なお、物欲センサーというものがあるかはさておき、願いとは裏腹に、宝箱からは大したものは出ない日々が続いた。

そうして、資金的には問題ないものの、フラストレーションをためつつあった俺は、ふと思ったのである。


「なければ、作ればいいじゃないか!」


ということで、思い立ったが吉日とばかりに、デネヴァたちと相談し、俺たちは都市・タルカンから出て遠征をすることにしたのであった。

目的地は、ドワーフたちの住む集落。鍛冶ならばドワーフが頼りになるだろう。常日頃から勉強している中で、【ドワーフ言語】もマスターしているし、彼らの好物である、酒も用意して交流する準備は万端であった。



序章-22 ぷろじぇくとなんとか



都市・タルカンを出立した俺たちは、いくつかの平原や河川を過ぎ、山脈のふもとにある、ドワーフたちの集落に到着した。

鉄をたたく音や、昼間から酒の飲んで騒ぐドワーフたち。俺たち以外にも、買い付けに来た人間たちの姿もあり、活気のある集落である。


「この街で一番の腕前な鍛冶師? そりゃあ、ギムレットの爺様だな。ただ、偏屈なところもあるぜ?」


その情報から、鍛冶師、ギムレットの工房を訪れた俺たち。

古参の鍛冶師の工房には、何名ものドワーフがいて作業をしている。


「なんじゃ、おぬしは。人間なんぞに作る武器はない」


と、最初はけんもほろろであったが、土産の酒を橋頭保に、とにかく俺の思いのたけをぶつけることにした。


「魔神やその眷属は魔力膜によって防御されていて、それを破るための武器を頼みたいんだ。それ一つで完成された機能を持つ神器と呼ばれる品物とは違い、魔力をためるバッテリーのような機能を取り付けたうえで、魔力伝達の高い金属からのパスを通じて発動させて、さらに----」


と、しばらくの間、熱弁をふるった俺に対しての、ギムレット爺さんは一言。


「話が長いわ!!」


と、ごもっともな指摘である。


「ふん、妙に説得力のある言葉で話しおって。もう少しわかりやすい形にして、でなおしてこい!」


と、そんな風に追い出され、それから数日後、紙に様々な武器製造プランを記入した俺は、ギムレットの爺さんにそれを見せに行った。

先日の騒ぎに興味を持ったのか、他のドワーフの弟子たちも、机の上にのせられた、複数の開発プランに興味津々であった。

なお、そういった魔法の武器の発想は、いわゆる前世のゲームや物語の中から、拝借して使わせてもらっていたりする。

俺には既知の発想だが、この世界では斬新な発想なのか、ドワーフたちも目を輝かせて仕様書を見たり、言葉を交わしていたりする。


「なるほどなぁ。ここから魔力を流すと……」

「これに見合う金属となると、恐らくはミスリルか、もしくは……」

「魔石に”循環””操作”の魔導紋を刻む……? 聞いたことないぞ」


………素人考えの中から、使えるアイディアを選出し、ギムレット爺さんたちに制作を依頼した。

それが形となるのに、2年の月日がかかることになる。

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