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ユートがバールを受け取った同時刻
ドワーフの国の門があった場所に異変が起こっていた
「門」が消失してから現在までかつて「門」があった各ダンジョンはダンジョン管理局により管理されていた
ダンジョン最下層 「門」が存在した場所は様々な機関の協力の元 管理 研究が行われていたが特に進展はなかった
ドワーフの門があるダンジョンもいつものように定期観測を行っていると突然 辺り一面が光に包まれた
しばらくして発光が収まると
そこには「門」が出現していた
観測をしていた面々は直ちに地上に報告をし 判断を仰いだ
報告を受けたダンジョン管理局は直ちに緊急会議を行い 近くにいる上級探索者以上の者達に召集をかけ調査を依頼した
依頼を受けたメンバーは「門」に入った経験者を中心に行われた
ダンジョン自体は特に変化はなく そのまま最下層まで進む
いよいよ「門」の中へ進入する
そこにあったのはドワーフの国だった
メンバーの中にドワーフの国に行ったことがある者がいた為 そのままドワーフの国に入りドワーフと会談することになった
彼らは門が消失した以前と変わらずの様子だった
話を聞くと門が消失しても特に不自由はなかったとのことだった
門が再び出現したことについては理由はわからないとのこと
こちらとの交流は以前と同様に行うことを約束した
戻ってきた探索者の報告を受けたダンジョン管理局は直ちにドワーフの国の門が再び出現し交流が再開されることを発表した
このニュースは世界を大いに騒がせた
特にドワーフ以外の異世界人たちは自分も戻れる可能性があるとして喜んでいた
何故「門」が再び出現したのか理由が不明だった
しかしそれは早い段階で解決した
ダンジョン周辺の調査をはじめ こちらにいたドワーフに聞き取りをした結果 あるドワーフが作ったものが理由ではないかと判明した
ドワーフ鍛冶師ガンモが作成した武器 バール
「門」が出現した時期と武器が完成したタイミングが一致したのと
その武器をドワーフの国の面々が見せた所 ドワーフが信仰する神に認められる程の出来だと評価された
この騒動によりドワーフたちの中でバールが流行する
神に認められた武器として鍛冶師たちがこぞってバールを作成した
その勢いはとんでもなく あまりの量にこちら側までバールが流れ込んできた
その結果 多くの探索者の武器がバールになる事態が発生した
只のバールではなく一流の鍛冶師であるドワーフが作るバールはそこらの武器よりも高性能だったからだ
しばらくの間 バールを持つ探索者がダンジョンに溢れていた
今回の件で他の国に繋がる門についても再び出現させる方法が模索された
戦闘能力の高い獣人や鬼人は難易度の高いダンジョンを攻略することが神に認められるとして
ダンジョン攻略を進めるようになった
異世界人には各種族で信仰する神がおり
今回の件で門の消失 再出現は神の試練ではないかという結論に至った
ユートたちエルフはというと
今まで通り自治区でのんびり過ごしていた
何故ならある確信があるからだ
世界樹がある現在 これ以上のことをする必要がないからだ
エルフの信仰する神は世界樹の化身といわれており
ここに世界樹があるのなら近い内に門が現れるだろうという理由だ
その近い内がいつになるかは不明だ
エルフの寿命は長い
生きてるうちに門が現れればいいだろう位と楽観的だった
因みにこの騒動でガンモは神が認めし武器を作った男としてドワーフの国で英雄となった




