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ユートはとある人物に会うため熊本に来ていた
「ガン爺久しぶり」
声をかけたのは髭もじゃでムキムキの老人
ガン爺と呼ばれた男はドワーフ
エルフと同じ様にやって来た異世界人だ
彼らドワーフはダンジョンで見つかるいわゆるファンタジー鉱物の扱いに長けた人種である
酒好きで豪快な者たちが多い
エルフ含め 異世界人は大体イメージ通りの印象だ
それが何者かの意思によるかは不明である
こちら側にいるドワーフは色んな場所に散らばっている
共通するのは鍛冶が行える環境と酒が飲めること
ガン爺ことガンモは世界でも数少ない鍛冶が出来るダンジョンがある熊本に居を構えていた
「タケトの倅か 何のようじゃ」
「新しい武器のお願いに来たんだ これお土産」
世界樹の木刀が出来たことで今まで使っていた棒を新たな武器に作り直すことにしたのだ
「これはエルフの霊酒か …話を聞いてやる」
ドワーフは気難しい者が多く依頼しても武器を作ってくれることはないが旨い酒を用意すれば交渉は出来る
ユートが用意したのはエルフの霊酒
世界樹の雫を元に作る酒という名の霊薬
世界樹の素材を材料としてる為 特別な時以外では作られることのない貴重なものなのだが こちらでは世界樹にユートがお願いすれば簡単に手に入れる
他の国には滅多に出回ることがないので今回の交渉に使用することにしたのだ
「今まで使ってたやつを素材に新しい武器にして欲しいんだけど」
「なんじゃあの棒切れ まだ使っておったんか」
「こっちじゃオリハルコン以上の武器なんてないしね」
ユートが使っていた棒は昔ガンモの工房に転がっていたオリハルコンの端材をそのまま武器として活用していた
「どんなやつにするんじゃ?」
「こんな感じにして欲しいんだけど」
数日後
「ほれ 出来たぞ 本当にこれでよかったのか?」
「うん ばっちり ありがとうガン爺」
出来上がったのはオリハルコン製のバール
「他のやつがこいつは武器じゃないといってたんだが」
「そんなことないよ こっちで手に入るメジャーな武器だよ」
ゾンビものやパニック系の物語では確かに武器として使用されるが一般的には工具なのが正しい
ユートがバールにした理由は最近ソフィアと遊んだゾンビゲーを参考にしたからだ
因みにユートのダンジョンスタイルは
防具を着ないので動きやすいジャージが多い
武器は今回手に入ったバールに木刀
今までもジャージに棒だけ持ったヤンキーだったのに更にレベルアップしてしまった




