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~ある日の夕方~
キュイキュイキュイ
災害を知らせるアラームが鳴り響く
揺れなどは感じない
軽く部屋を見渡すが特に異変が起きている様子はない
一旦外に出てみる
日が沈みかけている
見たところ周囲に変わったところはないようだ
といってもこの辺りに民家は自分の家しかない
近所の家までは徒歩で30分程離れている
何かが起こっても自分以外確認しようがない
アラームがなった端末を確認する
原因が記載されているかもしれない
『異常な魔力反応を感知しました』
それを見た瞬間 緊張が走る
ダンジョン外での魔力反応が起こる原因はいくつかあるが
大雑把に分けると2つ
⚫イレギュラーなモンスターの発生
⚫新たなダンジョンの発生
どちらも危険なことにかわりないが
後者に関してはある程度の猶予があるのに対し
前者の場合は即死もあり得る状況なのである
すぐに家に戻り自室から愛用の武器を手に取る
端末の機能で魔力反応を確認する
すると別の部屋から反応があった
すぐにそちらへ向かう
部屋に入り探索をはじめる
一見変化は見られない
端末を確認すると押し入れに反応があった
意を決して押し入れの扉を開けた
そこは黒いもやがかかったような空間に変わっていた
それは見覚えがあるものだった
ダンジョンの入り口だ
どうやら押し入れの中にダンジョンが発生したようだ
他に反応がないか調べてみたがどうやらここだけのようだ
ひとまずモンスターに襲われる心配はなくなった
一旦台所に向かい水を飲んで一息ついた
落ち着いたので次にすべきことをする
ダンジョンを発見した場合
ダンジョン管理局に報告する義務がある
これを怠ると罪に問われる
ダンジョンによっては放置するとモンスターが地上に出てきてしまう場合があるからだ
この為 ダンジョンを発見した者は管理局に報告しなければならない
端末を手に取り連絡する
「もしもしおじさん 報告したいことがあるのですが
はい ありがとうございます
今ダンジョン見つけて
場所なんですけど俺の家の押し入れで
はい 地上にはモンスターはいませんでした
それで今から中を調査したいのですけどいいですか?
はい 軽く確認するだけです
それと局員の派遣をお願いします
はい 到着するまでには戻ります」
幸い近くの管理局に叔父が責任者で駐在していたので
直接連絡して報告と局員の派遣を頼んだ
到着するまで2時間以上はかかると思うので自分はダンジョンに入ることにした
本来ならダンジョンの内部調査は管理局員と探索者が行うもので一般人にはできないことだ
しかし自分は探索者の資格を持ち
更には局長である叔父の信頼を得ているので単独での調査が認められた
ダンジョン探索者として未知のダンジョンにわくわくしていた
部屋に戻り道具を準備する
必要な道具を確認してボディバッグにいれる
武器である木刀サイズの金属の棒を手に取り
再びダンジョンのある部屋に戻る
「さてと いきますか」
そしてダンジョンへ入っていくのだった