~食うや食わずで恋愛できるの?~
おっぱい揉ませて出世するのって何なのよ?!と、予定どおり目覚めたキキョウは気に入らなすぎて自分ならとても無理だなと思いながらも、組織の中のカースト制度最下層で理不尽に踏みつけられる位置も絶対に無理だ、と思った。
キキョウの父は学歴エリートかもしれないけれど、家柄エリートではないし職業エリートでもない。
キキョウの弟は小学校低学年の頃から塾ばかりの毎日だったとはいえ本当のところはあまり勉強せずにスマホやゲームばかりしていて成績は低空飛行なのだが、それを父は何となく知っていても母のように怒りもしないし注意もしない。
もしかすると父はある意味力尽きてしまって、結局、家族のために自由に生きられる家庭に入ったことで偏差値競争に終わりを告げたのかもしれない、と、大人びた今朝のキキョウは思う。
‘今朝はジュースだけでいくね’
父がまたいろいろ熱く語り出さないように家を早めに出たキキョウは、同じバスの中に気になる男の子が乗っているのを見つけて気づかれないように視線をさりげなく動かして観察し始めた。
その男の子が着ているのは市内の進学校のひとつの男子校の制服ではないかとわかったが、一応確認のためにジャケットの特徴的なフォルムや校章をよく見られる距離まで移動しようとしたキキョウは、背が低くて痩せているので混んだバスの中の他の乗客を押し退けてうまく男の子に近づくことはできず、とうとうバス停に着いてしまった。
バスから降りて男の子が立っていた辺りの窓の中を見ると、偶然その男の子もこちらを見ていたように思えたことでキキョウの胸は良い意味を期待してざわついた。
英語が好きなキキョウはかなり高いレベルになっていて、今学年度はもう進度が遅くて簡単な授業を真面目なふりをして聞く気にならなくなっていたので、こっそり図書館から借りてきた本の中の写真をチェックしていた。
江戸時代だったか、宿場の女の子が旅人にカラダを売る仕事は体験してしまったので、今度は普通のうちの町の女の子の暮らしを見てみたいと思い、祭りの様子が書かれている絵を写メっておいた。
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キキョウが気がついたとき辺りは暗く夜も更けているのだろうか、目の前には神社の境内らしき場所に焚き火がゆらゆら燃えていて、男と女が何人も居るようだったがあまり話し声はしていない。
ここで着ている着物は分厚めでカサカサしていて胸元は大きめにはだけかかっていて、草履を履いているようで、ブラジャーはもとよりパンティもはいていないのがわかったキキョウは思わず両足の親指に力が入る。
確か絵の解説によれば、日本では江戸時代の中期頃まで男女のエッチは喜び事であり豊穣の象徴と考えられていて今のようにタブーとして扱われることなく、女の処女性も重要視されていなかった、とか。
現代の日本に育ったキキョウには想像もつかないが、日々の暮らしの一部としてエッチすることを軽く捉えていたようで五穀豊穣を神に祈る祭りや祖先の霊を慰める盆踊りなどの夜はあたり前のように男女が乱交的にあちこちで相手を換えてしていたという記録も残っているとWEBにもあった。
キキョウはまだ自分が誰と来ているのか分からなくてぼんやりと火を見ていると、両横から2人の男が腕や肩を掴んできたので驚いていると、すぐに男同士で言い合いが始まってしまい、その一人は今朝のバスの中のあの男の子の顔なのが分かった。
’今夜は俺にキキョウをくれ‘
‘バカいうな’
’マツはいないのかよ‘
‘さっき帰ったよ’
’キキョウ、走るぞ‘
とにかく、バスの中の男の子の顔の方に言われたとおりに頑張って走ったキキョウは脚を枝に引っかけたりしながらも川原に降りてきていた。
もう一人の男も追いかけてきていないのに少し遠くまで走って息が荒く苦しかったが、2人一緒に転んだひょうしにそのまま男の子に着物の前を開けられたのでキキョウの両乳房はあらわになったが月夜で他には人もいないので以外に恥ずかしくはなかった。
自分が次第にこういうシーンに慣れてきているのが分かったが、今夜の男の子とは話をしたかった。
‘ねえ、まって’
’なんだ?‘
‘マツ、さん、はどうしたの?’
’マツは子が出来たみたいだ‘
‘さっきの男の子の子ども?’
‘誰が親かなんかわかるものか、強い男の子孫が残るんだ‘
’ワタシのこと好き?‘
’好きってなんだよ?‘
‘え?’
’腹減ったのか?‘
‘え?’
’今は芋ならあるだろ?餅が食べたいのか?‘
’済んだら貰ってきてやるよ‘
‘どんなお餅?’
答えてくれずに男の子は自分も裸になろうとして紺色の着物を脱ぎ始めたが、キキョウはその子の肩越しにキレイな月を見ているうちに意識が薄れてきて、いつものベッドで目が覚めた。
’バスの中の男の子、声がかっこ良かったなぁ…‘
今朝も父が作る朝御飯の音がして、ベーコンを焼いている匂いがするのだが、キキョウはお餅が食べたい気もした。