レベルアップ
石像の残骸を片付けている間に、俺はステータスを確認した。
何と、レベルは42から一気に62に!
そりゃあ、あれだけドラゴニュートを倒せば当然か。
配分可能なポイントは100。
どうせ筋力や抵抗などに振ったところで、憑魔して戦う俺には意味が無いからな……、ここまで来たら精神に極振りして、さらなる悪魔娘を召喚できるようにしたい。
俺は躊躇うことなく、精神に全ポイントをブチ込んだ。
・精神196→296
精神が上がったことで、MPが上昇する。
・MP1033→1533
そして、一番大事なスキルレベルは……。
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〈パッシブスキル〉
・使役魔の手綱 LV.8→15 New!!
LVが上がる程、高位の悪魔を憑依させることができ、悪魔の能力を引き出すことができる
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〈スキル〉
・ステータス可視化 LV.3(Max)
自身のステータスをフルオープンにできる
・ソロモンズ・ポータル LV.5→11 New!!
自身で創り出したポータルから悪魔召喚が可能
一度に召喚できる個体数及び種別は術者の力量により変化する
・召喚 LV.6→14 New!!
自身のLVに応じて魔獣を召喚できる
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おぉ! 大幅にレベルが上がった。
これは期待出来るんじゃないか⁉
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〈召喚可能悪魔一覧〉
・序列72:アンドロマリウス [伯爵]
・序列68:ベリアル [王] New!!
・序列32:アスモデウス [王][大罪]
・序列26:ブネ [公爵]
・序列20:プルソン [王] New!!
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一気に二体も……⁉
それにレベルが上がったせいか、一覧に表示される項目が増えている⁉
『ほほぅ、これはまた……、君はよほど運がいいのだな』
ブネが語りかけてくる。
(ん? どういうこと?)
『……我々の住む獄界は72家が支配しているのは知っているな?』
(確か、アンドロマリウスがそんなことを言ってたな……)
『序列は家の格を表す、例え己が領地で王と呼ばれようとも、獄界全体の序列が優先される……とまあ、ここまでは表向きの、言わば建前というやつだ』
ブネは続けた。
『このカビの生えた序列制度は、もはや形骸化していると言っていい。今では序列から外れている悪魔の中にも、恐ろしい力を持つ者がいるからな。大罪もしかり、私は序列こそアスモデウスより上だが、力においては敵わんだろう』
(え……でも、ブネの方が強いんじゃ……)
『それは違うぞ。君が真の力を引き出せていないだけだ。私にしてもそう、見たところ、君が全てを引き出せているのは、アンドロマリウスだけだ……』
(そ、そうだったのか……)
『まあ、それはいいとして、君が新たに召喚できる悪魔は、二人とも各々の領地では王と呼ばれる強者。特にベリアルは序列こそ下位だが、その力は目を瞠るものがある』
その時、桐谷の声が響いた。
「道が開けた! まずは斥候を送る、皆は戻るまでに体勢を立て直しておいてくれ!」
「了解!」
「わかりました!」
それぞれが、慌ただしく自分の役割をこなす。
俺は内心、早く新しい悪魔を召喚したくてウズウズしていた……。
*
――覚醒管理局、庁舎屋上。
寒空の下、マフラーに顔を埋め、街並みを眺める少女がいた。
「ねぇ、私たち、なんで覚醒しちゃったのかな……」
「……」
少し後ろで、少女の言葉を待つ青年が、ちらりと腕時計に目を向けた。
少女は、風に流された亜麻色の髪を手で押さえ、青年に向き直る。
「君はA級で、私はS級……、私たち、こんなに近くにいるのに……ねぇ、お願い、浅倉、嘘だと言って⁉」
「……」
浅倉は足を揺すりながら、じっと少女を見つめている。
「もう……私、嫌なの! 一人は嫌なのよーっ!」
少女が演技掛かった台詞を吐くと、浅倉は大きくため息をつき、
「あの……もういいですか? 早くしないと上がうるさいので」と、時計を指でトントンと叩いた。
「ちょ! あんた人の話聞いてた?」
「ってか、仕方ないでしょ? ウチのS級は熊野堂さんだけなんですから……」
彼女の名は熊野堂あけみ、覚醒管理局処理課に所属する、唯一のS級覚醒者である。
今回、レベルSポータル出現の報せにより、当然の如く彼女に出動要請が下されたのだった。
「ぐ……」
「ちゃんと自分も同行しますから、お願いしますよ……これ以上、課長に圧かけられたくないんで」
「わかり……ました」
渋々、了承した熊野堂の手を引き、浅倉は階下に向かった。




