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世界最強の憑魔術師に覚醒したので第二の人生を楽しみます!  作者: 雉子鳥幸太郎
二章

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黒球

「クソッ! 仕方ない、ここは正攻法で……」

 そう思った瞬間、エルダーリッチがまたも杖を天に向けた。


『……Εξελικτικά υποτελή!』


 スケルトン達が夕闇色のオーラに包まれた。

 薄汚れた骨が紫色に変色し、肩や背中、手足の至る所に角が生える。

 その光景を目の当たりにした、近接ディーラーの一人が叫んだ。


「お……おい、マズいぞ、ありゃスカルウォリアーだ!」

「クッ……この数はキツいぞ」


 その時、藍莉が声を上げた。

「やむを得ん、私がリッチを落とす! スカルウォリアーを押さえておけ!」

 そう叫ぶと同時に、藍莉が身体を仰け反らせた。

 ――ボグッ! ボゴギッ!


「な、何だあれは……」


 爪は赤黒くナイフのように尖る。

 抱きしめると折れそうなほど華奢だった身体は、銀色の体毛とはち切れんばかりの筋肉に覆われ、森で見た覇王熊が可愛く思えるほどだ。


 あの美しい顔は、獰猛な狼に似た獣と化す。

 鋭い牙と金色の瞳にはもう、藍莉の面影は残っていなかった。


「ヴォォオオオオオーーーーーーーーッ!!!!」


 凄まじい咆哮に空気が震える。

 あれが……藍莉の能力。

 見られたくないと言っていたのは、この事だったのか……。


 放たれた矢の如く、エルダーリッチに向かって突進する藍莉。

 立ち塞がるスカルウォリアーが、いとも簡単に吹き飛ばされていく。


 あっという間にエルダーリッチを射程に捉えた藍莉は、鋭い爪を振り下ろした!

 王冠ごと首が地面に落ちる――。


「や、やった! 藍莉副長が……副長がリッチを落としたぞ!」


 が、しかし――、リッチの身体から黒い影のようなものが抜け出した。

 それは宙に舞い上がり、闘技場の中央上空で黒い球になる。


「何だ……あれは……?」


 スカルウォリアー達が糸の切れた人形のように崩れ落ちていく。


「……どういうことだ?」

 辺りを警戒していると、スカルウォリアーの残骸から黒いものが立ち上り、上空の球へと集まっていく。


「あれはヤバい……何か嫌な予感がするわ……」

 隣に来たモリーナが黒い球を見上げながら言った。

「ただのエルダーリッチじゃなかったのか?」

「わからない……でも、あの黒球からは、尋常じゃ無い魔力を感じる……」


 黒球から赤い液体が流れ落ちた。

 闘技場の地面が瞬く間に赤黒く染まっていく。


「ひぃっ……な、なんだよあれは……!」

「う、狼狽えるな! 盾役は体勢を整えろ! 近接ディーラーはいつでも行けるようにしておけ!」


 地面を覆った血の中から、一体の真っ赤なスケルトンが這い出してきた。


「何だあれ? 赤い骸骨?」

「あ……あぁ……は、早く、ボスを呼ばなきゃ……」

 モリーナがガタガタと震え始めた。

「おい、どうしたんだ?」


「ラ、ラストバタリオン……、あいつ、エルダーリッチじゃなかった、デミリッチだったのよ……」

「デミリッチ? 強いのか?」

「あ、あんた……知らないの⁉ 上位種でしょうが! と、とにかく、説明してる場合じゃないわ! あの赤いスケルトン……レッドボーンは無限に増殖する、しかも強い! このままじゃ終わる、早くボスを呼ばないと……」


「グォオオオーーーーッ!!」


 数体のレッドボーンが藍莉に群がっていた。


「藍莉!」


「オオォォォーーーーーン!!」

 

 悲痛な叫び声を上げ、必死に振り払おうとしている。

 だが、レッドボーンは次々と藍莉の身体にしがみ付いていく。


「ふ、副長!! ひ、ひるむな、副長を助けるんだ!」

「うぉおおお!!」


 近接ディーラー達が必死で藍莉の元へ行こうとするが、レッドボーンに阻まれ動けない。そうしている間にも藍莉の身体は赤く覆われ、見えなくなってしまった。


「ここをお願い! 私はボスを!」

 モリーナが駆け出していった。


 アンドロマリウスの憑魔を解くと、空気を読んだのか、

『私も影の中に』と言って、フッと姿を消した。


「待ってろ、藍莉――」


 正面に手を翳し、ソロモンズ・ポータルを創り出した。

 今の俺が持てる最高戦力……、これでお前を助ける!


『――来い、ブネ!』


 叫んだ瞬間、俺の隣に白衣姿のブネが現れた。


『ほぉ……何やら楽しそうではないか』

 実験を眺めている博士のようにブネが言った。

 俺はブネの肩を掴んだ。


「すぐに憑魔だ、時間がない!」


 ブネがフッと鼻で笑う。

実験体モルモットが何を慌てておるのだ』

「見りゃわかるだろ⁉ このままじゃ藍莉がやられる!」


 やれやれとブネは小さく頭を振り、宙に浮いた。


『まったく……君は私から何を学んだのだ? えっちなことだけしか覚えてないのか? そんなものはオークと変わらんぞ?』

「ま、学ぶって……」


 ブネは空中で仁王立ちになり、俺にドーンと指を突きつけた。

 もうこの下着姿にも耐性が付いてきたな……。


『あぁ……愚かなり! このブネが直々に真理の一端を教えてやったと言うのに……』

「あの粒子がどうとかの話か……?」


 そうしている間に、レッドボーンがまるで軍隊蟻のように押し寄せてきた。

 近接ディーラー達も盾役も呑み込まれていく!


「ブネ! 早く! 呑み込まれるぞ!」

『何という世話の焼ける実験体だ……、良く見ておけ』


 ブネが宙に指で何かを書く。

 回転する小さな魔方陣が輝き、ブネはそれを握りつぶす。


魔素転送(マナ・リモート)……粉砕(クラッシュ)

 その場にいる、全てのレッドボーンが砕け散った。


『わかるか? こういうことだぞ?』

読んでくださってありがとうございます!

良ければ下の★から……


★☆☆☆☆ つまらん


★★☆☆☆ まあまあ


★★★☆☆ 普通


★★★★☆ 面白い


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― 新着の感想 ―
[良い点] アンデッド特効かな。 ブネ先生の講義は難しくてまだ分からん
[一言] スキル封印でもどうにか成りそうだったけどな?
[一言] つまり憑魔術師である前に召喚師なんだから、 召喚した悪魔を憑魔せずに直接戦わせればいいじゃない ってことかな?
感想一覧
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