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世界最強の憑魔術師に覚醒したので第二の人生を楽しみます!  作者: 雉子鳥幸太郎
一章

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31/91

強制召喚

「リディア、ちょっと憑魔に時間かかりそうだから、黒田達に待って貰えるように伝えてくれないかな?」

「え……大丈夫?」

「あ、うん、問題ないと思う、すぐに追いかけるから」

「わかったわ、ちょっと行ってくる」

 リディアが小走りで黒田達の元へ向かった。


 よし、今のうちだ……。


『――ソロモンズポータル!』


 いつも通り、黒いポータルが出現した。

 うん、こっちは問題無さそうだな。


 強制か……大丈夫かな?

 むぅ……でも、他に道はない。

 えぇい! 行っとけ!


『――来い、ブネ!』


 が、しかし……出てくる気配が無い。

 あれ? どういうことだ?


「おーい、ブネー?」


「やれやれ……、後ろだ後ろ」

「え⁉」

 驚き振り返ると、そこには白衣を着た銀髪クール系の美少女が立っていた。

 しかも、なぜか白衣の中は黒い下着姿である……。


「な、なんて格好を……」

「ふむ……私を召喚するには些か力不足に見えるが……」

 ブネは俺をジロジロと見ながら、

「なるほどなるほど……、ふむふむ、相性もあるのだろうな」とブツブツ言っている。


 うーん、また変わった悪魔が出て来たな……。

 時間も無いし、早く憑魔しなければ。


「あの、憑魔は……」

「憑魔? あぁ、私の力か、無理だな。君には使えまい」

 ブネは銀色の髪を後ろに払いながら言った。


「え……⁉」

「聞こえなかったのか? 君にはまだ早いのだよ」


 ポケットに手を突っ込みながら、ブネはふんと鼻を鳴らした。

 白衣の隙間から見える豊満な胸元……、くびれた腰のライン、どこを見ても赤面してしまいそうになる。

 クソッ……何でいちいち美少女の姿なんだよっ!

 目のやり場がないぞ……ったく。


「オ、オホンッ、あの、え? でも、召喚できたし……」

 パッと瞬間的に俺の真横に移動したブネは、俺の耳をぎゅっと引っ張った。

「いててっ!」

「よかろう……、その耳かっぽじって、よ~く聞きたまえ」

 そう前置きをして、ブネは俺の耳を離した。


「恐らく私がここにいるのは、君が次の段階に入ったからであろう。いわば、案内役を務めるために、大いなる力によって遣わされたのだと、私は推測する。そんなわけで、特別に三回だけ質問をする権利をやろう、光栄に思え」

 そう言って、面倒くさそうに頭を掻く。


 むぅ……、真っ白な肌に黒い下着の組み合わせは卑怯だ。

 どうしても目線が吸い寄せられてしまうじゃないか……。


 しかし、なぜ白衣に下着なんだ? 変態なのか?


「さあさあ、早くしたまえ……君ぃ」

 空中に浮かんで胡座を掻いたブネは、大きく欠伸をした。

 うわぁ……モロ見えだぁ……いかん、これはいかんぞ。


 冷静になれ、あれは悪魔だ。

 俺の欲望の見せる幻影だと思え!


 よし、質問だな……ん?

 ちょっと待て、もう全く意味がわからないんだが。

 どうする? でも、こんな機会も無いし、自分の力について訊くべきか?


「あの、俺はなぜ悪魔を呼べるのですか?」

「知らん」

「は?」

 ブネは空中で寝そべって頬杖を付き、片膝を立てた。

「知らんものは知らん。だが、然るべき手順、然るべき理により、我らは召喚に応じている、次」

「えっと……次の段階とは?」

「知らん」

「ちょ……」

「冗談だ。単純に君の力の段階が上がったからだろうな、一つ言っておくと、君の持つその力は、段階が上がるごとに、私達悪魔の力を引き出す」

「それは知ってます、もっと詳しく教えてください」

「生意気、次」

 そう言い捨てて、つまらなさそうに銀髪を指先で触っている。

「ぐ……」


 どうする、最後になってしまった。

 何を訊けば……。


「ポータルって何なのですか?」

「説明したところで、理解できんよ。この私でさえ、道半ばなのだからな……」

「え? ちょ⁉」

 いつの間にか、俺の首に両手を回し、生足を身体に絡みつけてきた。

 何の感情も無いような瞳で俺を見つめながら、口元だけは薄く笑っている。

 まるで、俺の反応を楽しんでいるみたいだ……。


 ふと、冷たい指先が俺の顎を押し上げた。

 互いの唇は、あと僅かでもどちらかが動けば触れてしまう。


「……まだ、早い」

「うぅ……」

 情けない声を漏らした瞬間、スッとブネが離れた。


「さて、約束通り務めは果たした。では、また会うこともあろう」

「ちょ……」

「そうだ、言い忘れておったが、もう悪魔城へは行ったのか?」

「悪魔城?」

「……知らぬならよい、忘れたまえ」

 そう言って、面倒くさそうに片手を上げたブネは跡形も無く消えてしまった。


 な、何だったんだ……。

 俺の顎にブネの指先の余韻だけが残っていた。

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