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空位の魔王と反逆勇者の孫  作者: かわうそ
『学院』入学編
29/36

幕間

「今頃は入学式だろうな。エリカ、ドラゴは立派になったぜ」


初老を過ぎた頃だろうか?

1人の男が森の中にある簡素な墓の前で胡坐をかいて座っている。

人が寄り付かない深い森、そこにある木の生えていない小さな空間に建てられた墓には『エリカ・グリント』と刻まれている。


「やっぱりここか、涼真」


森の中から現れたエルフの男が座っている男に声を掛ける。


「オズバか。お前も今や三賢刃の1人だろ?頻繁に国を留守にして大丈夫なのか?」


「長老衆の(じじい)共の説教なんか軽く流してるさ。俺がいなくともイラクラバの(じじい)がいれば戦力は十分だ。むしろ制御の利かない俺がいないほうがやり易いだろ」


「爺、爺ってお前だって十分”(じじい)”だろうが」


「は?違うね、俺はまだピチピチの80代だぞ300年以上生きている年寄り共と一緒にするなよ」


「80代って俺からしたら十分爺だぞ」


「見た目はお前の方が爺だけどな」


「俺は人族だぞ、お前らエルフ族と違って1000年も生きられないからな。それに、50代にしては若いほうだぞ」


「まあ、そんなことはどうでもいいんだ。で?俺のクソ弟子をあの化け物(じじい)の学校に行かせたのか?」


「ああ。エリカの奴がそうさせたがっていたいたし、俺も、そうすべきだと思ったからな」


「魔法ならお前が教えればいいだろ」


「俺の魔法はこの世界の魔法とは発動スキームが違うんだよ。教えようと思って教えられるもんじゃない」


「なんか前にも聞いたなその台詞。ドラゴに刀術を教えて欲しいって頼んだ時も同じようなことを言ってたよな?」


「ああ、俺の剣術も魔法もこの世界の技術とは違うんだよ」


「ふ~ん、勇者特有の技術ってやつか?」


「まぁ、そんなもんだ。その力がなきゃ俺の戦闘力なんてたかが知れてる」


「そうなのか?お前ほどの魔導士はあの爺を除けば存在しないと思うんだけどな」


「そんなことないさ。今じゃ力を使ってもオズバには勝てないしな。よいしょっと」


涼真は立ち上がり森の中へと歩き出す。

それに続くオズバ。


「ドラゴの奴、刀術の初歩は俺が仕込んだがまだまだ体が出来上がっちゃいない。卒業したら鍛えなおさねえと」


「ふっ」


「なんだよ」


「最初はあんなに教えるのを嫌がっていたのに変わったな」


「そうだな、まあ、やってみたら面白かったんだよ。ドラゴの奴は才能もあるしな」


「才能ね、ドラゴの力には底が見えない。卒業するころには俺たちより強くなってるかもな」


「それならそれで面白いな、はっはっはっ!久しぶりに来たんだ、小屋に戻って呑もうぜ」


「まあ、いいか。酒は持ってきたんだろうな?」


「もちろん!イラクラバの爺さんの酒蔵から拝借してきたぜ。500年ものの『妖精の涙』だ」


「ほう、なかなかだな」


「ドラゴの入学祝だからな!」


「そうだな!ズズイラバーダもいりゃよかったのに」


「ダメだ!あいつがいたら酒がいくらあっても足りねーよ」


「それもそうか!ハッハッハッ!」


人が寄り付かない、いや、()()()()()()神域の森。

神の遣いと呼ばれる獣が支配する森。

そこに建つ小屋の中からは夜通し2人の男の笑い声が響いた。

第1章は終了です。

次話から第2章に突入です。

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