9話
風呂を出て、リビングに行くと母さんが夕飯の支度をしていた。
「母さん、手伝おうか?」
「いいえ、大丈夫よ。もうすぐ終わるから椅子に座って待っててちょうだい」
母さんにそう言われ、俺は食卓に向かった。
父さんと風華はすでに椅子に座っていた。
「おかえり、翔」
「ただいま、父さん。それで大事な話って何?」
「まぁまぁ焦るな、4人そろってから話すから」
「ああ、わかったよ」
少しして母さんが夕飯の支度が終わり、
俺と父さん、風華と母さんが向かい合うように座り、
夕飯を食べ始めた。
「う~ん、やっぱり灯里|あかり|ちゃんの作る料理は世界一美味しいね」
「もう、健|たける|さんったら、大げさなんだから」
始まった、父さんと母さんのラブラブモード。
結婚してから、10年以上たっているのに、
灯里ちゃん、健さんと呼びあい、
まるで付き合いたてのカップルのようなラブラブっぷり、
まぁ仲が悪いよりはいいと思うのだが
それをほぼ毎日のように見せられる側としては、どうかと思ってしまう。
このままの状況を続けられるのもあれなので、
俺は父さんに話を振った。
「それで父さん、大事な話って何だったの?」
「おお、そうだそうだ」
思い出したかのように父さんは俺と風華の方を向き、
コホン、と咳払いをしてから話し始めた。
「2人に話さなきゃいけないことがあってな、そろそろいいころかと思ってな」
「そうね、翔も高校生になって、風華も中学3年生になったしね」
「実はな、お前たち2人は……本当の兄妹じゃないんだ」
「「えっ?」」