6話
俺は彼女に連れられ隠れ家的なカフェにいた。
「そういえば名前をいうのを忘れていましたね。私は中里 結女です」
「俺は成宮 翔、中里さんはここにはよく来るの?」
「はい、私のお気に入りのお店なんです。あまり人がいなくて落ち着けるから」
「そうなんだ、それなら俺なんかにこの場所を教えてよかったの?」
「大丈夫です、成宮君には今日助けてもらいましたし、それに成宮君は…特別、ですだから」
「特別?」
「いや、特別っていうのは変な意味じゃなくて!ほら、特別な恩人ってことです!」
「ああ、そういうことか」
「はい、そういうことです!」
「それじゃそろそろ、何か頼もうか?俺お腹すいちゃって。中里さんは何かおすすめのものってある?」
「そうですねぇ、おすすめはやっぱりオムライスですかね。ここのオムライスすごくおいしいんです」
「へぇ、そうなんだ。じゃあそれにしようかな」
「おやおや、結女ちゃん今日は彼氏くんとデートかい?」
中里さんと話していると、店長らしき人が優しそうな笑顔でを俺たちに声をかけてきた。
「ちち、違いますよ店長さん!成宮君はうんめぃ…じゃなくて朝危ないところを助けてくれた恩人なんです!」
「おやおや、そうだったのかい?私はてっきり…」
「そうですよ!それよりオムライス2つお願いします」
「オムライス2つですね、承りました。少々お待ちください」
注文を受けて店長は厨房へと戻っていった。
そのあとはオムライスが出来上がるまでお互いの趣味などの話をしていたのだが、俺たちはお互いにアニメ、マンガ好きという共通点を知り、かなり盛り上がった。
「やっぱり、主人公のガイルがヒロインのエリーナと一緒に命を引き換えに魔王を倒したシーンでは感動して泣いちゃいました」
「そうだよなぁ、俺もあのシーンで『エリーナもう俺は君を1人にはしない!』ていうガイルのセリフには男の俺でも思わずかっこいいと思ったよ」
その後、運ばれてきたオムライスを2人で食べた後もアニメの話で盛り上がり、気づけば夕方になっていた。
「今日はありがとね、こんないい場所も教ったうえに奢ってもらっちゃって」
「いいえ、気にしないでください。私がしたくてしたことですから」
「それじゃ、中里さんまた明日学校で」
「うん、またね成宮君」
そう言って俺たちはお互いに手を振って別れた。
「きゃっ」
「いてっ!!」
中里さんに背を向けて帰ろうと歩き出したとき後ろから声がした。
「あっ、ごめんなさい!」
どうやら中里さんが人にぶつかってしまったらしい。
中里さんはすぐに頭を下げ謝っている。
普通ならそれで終わりだっただろう。
そう普通なら。
だが問題なのは、ぶつかった相手だった。
ぶつかった相手は明らかに不良のような男子生徒だった。
ヒロインに再びの危機!
翔はどうするのか?