3話
誤字報告、評価、ブックマーク本当にありがとうございます。
いろいろな人に読んでいただけてとても光栄です。
今後ともよろしくお願いいたします。
では、続きをどうぞ。
朝から美少女に逃げられた俺は(不可抗力によるものだが)、入学式に間に合うように走り出した。
せっかく高校生になったのに初日からこれでは嫌になりそうだ。
◇
何とか集合時間ギリギリに新入生用の教室に着いた。
息を切らしながら扉を開けた俺はかなりの注目を浴びた。
その視線を感じながら、俺は窓側の一番後ろにある自分の席に座った。
(なんで俺の席だかわかったかって?そんなの俺が一番最後に教室に来たからに決まってるだろうが!)
おかげで入学初日から悪目立ちしてしまっている。
今後は絶対に早めに来ようと心に決めた。
「入学式早々に遅刻ギリギリとはなかなかだね」
ひとつ前の席に座っていた男子生徒がイケメンスマイルをかましながら話しかけてくる。
「仕方ないだろ、朝はあんまり得意じゃないんだよ、えっとぉ」
「僕は真坂 冬也、冬也でいいよ」
「わかったよ冬也、俺は成宮 翔、俺のことも翔でいいから」
「これからよろしくね翔」
「こちらこそよろしくな冬也」
その後、冬也と他愛のない話をしてる間に入学式の会場になっている体育館に向かう時間になり、俺たちは教室を後にした。
◇
俺たちが体育館に着くとしばらくして式は始まった。
式は滞りなく進んでいき新入生代表挨拶となった。
「新入生代表、1-A東条美佳」
「はい!」
司会をしている教師に名前を呼ばれて一人の女子生徒がステージに上がりマイクの前に立つ。
そこには朝、挨拶して逃げられた女の子が立っていた。
「なぁあの子、超可愛くね?」
「それな、頭よくてスタイルも抜群とか、最高じゃん!」
「しかも今年は、めちゃくちゃ可愛い女子多いらしいぞ!」
「マジか!ついに俺も可愛い彼女ゲットだぜ!」
近くの男子生徒が静かにそんな話をしていた。
「今年の新入生代表はずいぶんと可愛いね?」
俺も冬也に同じように話かけられた。
「そうだな」
「なんだい、翔の好みとは違ったのかい?」
「なんつーか、まぁ見慣れてるっていうかなんというか……」
「どういうことだい、見慣れてるって?」
「どうもこうも、あいつは俺の幼馴染だ」
そう、俺と美香は幼馴染だ。
だが、中学2年の秋あたりから急に避けられるようになった。
理由もわからず、聞こうとしても避けられ、気づけば1年が過ぎ卒業していた。
俺が何かしたのなら謝りたいと今でも思っている。
そしてできることならまた前みたいに仲のいい幼馴染に……
そんなことを考えながら美香を見ていた。
その時、新入生代表の挨拶を終え、ステージから降りてくる美香と目が合った。
(えっ?なに?なんかすげぇ睨まれてんだけど)
「翔、君なんか睨まれてないかい?羨ましいなぁ」
「やっぱ睨まれてるよな、、、え?うらやましい?」
「当たり前だよ、あんな可愛い女の子に冷たい目で睨まれるなんて最高じゃないか!」
「冬也、お前まさか……」
「ドMだけど、それがどうかしたかい?」
「残念イケメン…」
「残念とは失礼だなぁ、むしろ僕はこの気持ちがわからない方が不思議なんだけどなぁ」
「……」
俺は今日、美少女に逃げられ(不可抗力のせいで)、幼馴染に睨まれ、高校生活初めて出来たイケメンな友達が残念な奴だと知った。
(神様俺がいったい何をしたっていうんだよ!!)