最高で最悪の日4
「ど、どういうことなんだ!
ただのフクロウじゃないっていうのは…」
「それは……」
男は開きかけた口をすぐにまたつぐむ。
「だいたい、おまえ何者なんだ!?
なんだってこんな真似が出来る!?」
そう言った時に俺ははっと気が付いた。
そうだ…この男は俺になんらかの呪いをかけやがった。
こんなことが出来る者が、普通の人間であるはずじゃない。
ってことは、こいつは…
俺は、急に恐怖を感じ、そっと後ずさりした。
「……どうした?」
俺の行動に男はすぐに気付いた。
考えてみれば、今の俺はかよわい女だ。
とてもこんな男に力で適う筈はないし、走って逃げたにしろきっと捕まっちまう。
俺は、逃走も戦う事もあっさりと諦めた。
「おまえ……もしかしたら、あ…あ…悪魔か?」
男は俺を一瞥し、失笑する。
「違う。
……おまえはエルフを知っているか?」
「エルフ?
あぁ、知ってるぜ。
よく御伽噺に出て来る奴だろ?
森の中に住んでる耳のとんがった…」
男はそれを聞くと、呆れたような表情で肩をすくめた。
「な、何なんだよっ!」
「……まぁ、そういう姿で表されることが多いのは事実だな。
実際の所は少し違うのだが…」
「違う…?
なんで、そんなことわかるんだ!?」
「……それは、私がそのエルフだからだ。」
「えっっ!」
馬鹿馬鹿しい…
エルフなんて者は、御伽話に出て来る者であって現実にはそんな者はいない!
……今までの俺ならきっと即座にそう言ってた筈だ。
しかし、今の俺は今までの俺とは違う。
女だ…こいつの呪いで男だった俺が突然女になっちまった。
そんなことが出来るってのは……本当にこいつがエルフだってことなのか!?
理屈ではそう思いながらも、それでもまだどこか信じられない。
(……そうか、わかったぞ!
これは夢なんだ!
俺は、酔っ払っておかしな夢を見てるだけで、こんなものはすぐに覚める!
うん、そうだ!)
俺は、思いっきり自分のほっぺたをつまみあげた。
「い、いてぇーーー!」
それは、目が覚めるほどの痛さだったが、俺の身体や声には変化はなく、元の男に戻ることはなかった。