魔女、再び2
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「さぁ、出発だ。」
次の日の早朝、俺達は北を目指して歩き始めた。
しばらく歩くと、細い街道に出た。
地図を見たところ、この先には小さな町があるようだ。
「町に行ったら、必要なものを揃えておかねばならんな。」
本当に厚かましい奴だ。
これまでの路銀も俺が全部出してるっていうのに、少しの遠慮もない…
今までに集めたお宝があったから、それを売ってどうにかなってるものの、これは本当は俺とエリーズのために使うはずだった金なんだぞ。
家を買ったり、二人の将来のために使うつもりの大切な金なんだから。
「今夜の宿はあそこにしよう。」
俺達は、町に入り最初に目についた宿屋に向かった。
「あぁ、ひさしぶりのベッドだ!…一体、何年ぶりだろう…」
アランは宿屋に入るなり、寝台にごろりと横になった。
何年もの間、森の中で過ごしていたアランにとっては、こんなことさえも本当に夢みたいなことなんだろう。
食堂で食べるありきたりの料理にも、アランは、感激しっぱなしだった。
その気持ちは確かによくわかる。
アランは、何年もの間、ろくなものを食べてなかったんだから。
思い切った判断だったが、あの崖を下りたことは今となっては正解だったのかもしれない。
そうでなければ、俺達は、あの森を抜け出せたかどうかわからないのだから。
「さて…それじゃあ…そろそろ休むとするか。」
「俺…じゃない、私…
今夜は少し出かけてくる…わ。」
「出かけるって…こんな時間から一体どこに行くんだ?」
「酒場だ。」
「酒場?あんた、酒が好きなのか?」
「好きってわけじゃないが…嫌いでもない。
今夜はなんとなく飲みたい気分なんだ。」
ひさしぶりの町だったせいか、俺も少し気分が高揚していたようだ。
「だったら…俺も行くよ。」
「いいよ、私一人で行くから…」
「なに言ってるんだ。
あんたみたいな別嬪が、酒場に行ったら、どんな奴が言い寄って来るかわからない。
心配だから、俺も行くよ。」
煩わしいと思ったが、アランは引くことはなく、結局、俺に着いてきた。




